腹部大動脈瘤により十二指腸閉塞を来した1例

症例は81歳の男性で, 平成12年に腹部大動脈瘤 (以下, AAA) を指摘されるが, 経過観察されていた. 平成17年11月中旬より腹痛と頻回の嘔吐があり, 近医を受診. 上部消化管造影検査にて胃, 十二指腸の高度拡張, 十二指腸水平脚の狭窄像を認め, AAAの増大も認めたため当科に紹介受診, 入院となった. 同日施行された腹部CTにて胃から十二指腸下行脚にかけての拡張と左右腎動脈分岐部レベルから両総腸骨動脈にかけて最大径7.5cmのAAAを認めた. 入院後胃管を挿入するも排液が多く, 嘔気が持続するため, AAAによる十二指腸閉塞と診断し, 手術を施行した. 開腹すると増大したAAAと上腸...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 40; no. 9; pp. 1587 - 1592
Main Authors 佐藤, 俊充, 森, 敏宏, 山本, 貴之, 宮内, 正之, 久野, 泰, 蜂須賀, 丈博, 篠原, 正彦, 三浦, 進一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2007
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.40.1587

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Summary:症例は81歳の男性で, 平成12年に腹部大動脈瘤 (以下, AAA) を指摘されるが, 経過観察されていた. 平成17年11月中旬より腹痛と頻回の嘔吐があり, 近医を受診. 上部消化管造影検査にて胃, 十二指腸の高度拡張, 十二指腸水平脚の狭窄像を認め, AAAの増大も認めたため当科に紹介受診, 入院となった. 同日施行された腹部CTにて胃から十二指腸下行脚にかけての拡張と左右腎動脈分岐部レベルから両総腸骨動脈にかけて最大径7.5cmのAAAを認めた. 入院後胃管を挿入するも排液が多く, 嘔気が持続するため, AAAによる十二指腸閉塞と診断し, 手術を施行した. 開腹すると増大したAAAと上腸間膜動脈の間で十二指腸水平部が狭窄していた. 術後3日目より経口摂取可能となり, 術後15日目に退院した. AAAによる十二指腸閉塞は非常にまれである. 今回, 我々は非常にまれなこのような症例を経験し, 良好な結果が得られたので報告する.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.40.1587