化学放射線療法で腫瘍縮小が得られ根治術後に長期生存が得られた直腸内分泌細胞癌の1例
化学放射線療法で腫瘍縮小が得られ, 根治術後に長期生存が得られた直腸内分泌細胞癌を経験したので報告する. 症例は61歳の男性で, 術前の生検で内分泌細胞癌と診断され, 初回手術で人工肛門造設術のみ施行した切除不能下部進行直腸癌に対し, CPT-11+5-FU+1-LVによる全身化学療法 (IFL療法) と骨盤内に放射線照射を行った. 腫瘍の縮小と腫瘍マーカーが正常値になったことから, 腹会陰式直腸切断術を施行した. 病理組織学的診断は内分泌細胞癌で, わずかに癌細胞を認めるのみで組織学的効果判定はGrade2であった. 術後, UFT-Eを経口投与し, 根治手術後46か月現在無再発生存中である...
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Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 41; no. 8; pp. 1643 - 1648 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
2008
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ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
DOI | 10.5833/jjgs.41.1643 |
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Summary: | 化学放射線療法で腫瘍縮小が得られ, 根治術後に長期生存が得られた直腸内分泌細胞癌を経験したので報告する. 症例は61歳の男性で, 術前の生検で内分泌細胞癌と診断され, 初回手術で人工肛門造設術のみ施行した切除不能下部進行直腸癌に対し, CPT-11+5-FU+1-LVによる全身化学療法 (IFL療法) と骨盤内に放射線照射を行った. 腫瘍の縮小と腫瘍マーカーが正常値になったことから, 腹会陰式直腸切断術を施行した. 病理組織学的診断は内分泌細胞癌で, わずかに癌細胞を認めるのみで組織学的効果判定はGrade2であった. 術後, UFT-Eを経口投与し, 根治手術後46か月現在無再発生存中である. 大腸内分泌細胞癌は極めて予後不良で外科的切除だけでは限界があり, 術前に化学療法や放射線療法を含めた集学的治療を行うことで治療成績を向上させる可能性があると思われた. |
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ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.41.1643 |