早期胃癌における重複癌の検討

早期胃癌切除例における重複癌症例について, とくに大腸癌重複例を中心に検討した. 対象は1972~1989年に切除された早期胃癌749例中, 胃の肉腫との同時性重複癌2例を除く747例とした. 重複癌は71例 (9.5%) で, 部位は結腸・直腸, 肺, 乳房, 肝臓の順であった. 大腸癌重複30例 (42.3%) 中, 男性25例, 女性5例で, 同時性が8例, 異時性のうち大腸癌先行例が10例, 胃癌先行例が12例で, 男性, 胃癌先行例が多かった. 重複した大腸癌の部位はS状結腸・直腸が23例 (76.7%) を占めた.大腸癌重複例の重複までの期間は大腸癌先行例で平均4年11か月, 胃癌...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 27; no. 7; pp. 1747 - 1752
Main Authors 佐々木, 淳, 古澤, 元之助, 友田, 博次, 瀬尾, 洋介, 大野, 真司, 森田, 勝, 松隈, 哲人, 掛地, 吉弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 1994
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Summary:早期胃癌切除例における重複癌症例について, とくに大腸癌重複例を中心に検討した. 対象は1972~1989年に切除された早期胃癌749例中, 胃の肉腫との同時性重複癌2例を除く747例とした. 重複癌は71例 (9.5%) で, 部位は結腸・直腸, 肺, 乳房, 肝臓の順であった. 大腸癌重複30例 (42.3%) 中, 男性25例, 女性5例で, 同時性が8例, 異時性のうち大腸癌先行例が10例, 胃癌先行例が12例で, 男性, 胃癌先行例が多かった. 重複した大腸癌の部位はS状結腸・直腸が23例 (76.7%) を占めた.大腸癌重複例の重複までの期間は大腸癌先行例で平均4年11か月, 胃癌先行例で平均6年3か月であった. 大腸癌重複例の予後は大腸癌死が30例中9例 (30.0%) であり, 重複した大腸癌の予後が症例の予後に影響を及ぼしていた. 早期胃癌患者では術後6~10年といった遠隔時の消化器系を中心とした検索が必要で, とくに大腸癌の早期発見が肝要である.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.27.1747