手術用顕微鏡を用いた下腿三分枝動脈への血行再建術 手術手技と遠隔成績

当科では1984年以来, 下腿動脈の血行再建に顕微鏡下手術手技を導入して開存成績の向上を図ってきた. これまでに行った下腿三分枝動脈へのバイパス術は38例40肢あり, これらの症例に対し44回の血行再建術を行った. 原則として自家大伏在静脈を使用し, 手術用顕微鏡使用下, 10倍拡大で血管内腔を観察し, 5倍拡大で縫合操作を行った. 縫合糸は7-0または8-0 polypropylene 糸を用いた. 末梢吻合部位は下腿動脈中枢側24肢, 遠位側20肢である. 入院中に早期閉塞をきたしたものが4肢9.1%あり, また遠隔期にも3肢が閉塞した. バイパス閉塞は末梢 run off 不良群に多くみ...

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Published in日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 24; no. 3; pp. 155 - 160
Main Authors 横川, 雅康, 上山, 武史, 明元, 克司, 山本, 恵一, 三崎, 拓郎, 鈴木, 衛, 杉木, 実, 阿部, 吉伸, 富川, 正樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会 15.05.1995
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ISSN0285-1474
1883-4108
DOI10.4326/jjcvs.24.155

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Summary:当科では1984年以来, 下腿動脈の血行再建に顕微鏡下手術手技を導入して開存成績の向上を図ってきた. これまでに行った下腿三分枝動脈へのバイパス術は38例40肢あり, これらの症例に対し44回の血行再建術を行った. 原則として自家大伏在静脈を使用し, 手術用顕微鏡使用下, 10倍拡大で血管内腔を観察し, 5倍拡大で縫合操作を行った. 縫合糸は7-0または8-0 polypropylene 糸を用いた. 末梢吻合部位は下腿動脈中枢側24肢, 遠位側20肢である. 入院中に早期閉塞をきたしたものが4肢9.1%あり, また遠隔期にも3肢が閉塞した. バイパス閉塞は末梢 run off 不良群に多くみられ, run off 良好群では閉塞はなかった. 累積開存率は5年79.0%, 8年67.7%で, 救肢率は92.5%であった. 入院死亡は1例2.6%であった. 下腿動脈の正確な吻合には顕微鏡下手術手技が有用であり, これにより術後の血栓形成や早期閉塞が避けられる. また遠隔成績の向上も期待される.
ISSN:0285-1474
1883-4108
DOI:10.4326/jjcvs.24.155