術後2年目に腹膜播種にて再発したlow risk空腸gastrointestinal stromal tumorの1例

症例は75歳の男性で, 2001年1月腹部大動脈瘤破裂に対し緊急開腹術を施行した際, 偶然空腸に径3cmの充実性腫瘍を認め, Y graft置換術および空腸部分切除術を施行した.病理組織学的に腫瘍は紡錐形細胞からなり, c-kit, CD34陽性でgastrointestinal stromal tumor (GIST) と診断された.核分裂像は50High-power field (HPF) あたり1個, MIB-1 labeling index は3%と低く, 病理組織学的には悪性の所見を認めなかった.2003年9月腹部CTで腹腔内に8cm大の腫瘤を認めたため, 腹腔内腫瘍の診断で10月開...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 38; no. 8; pp. 1351 - 1356
Main Authors 秋吉, 高志, 徳永, 正則, 荻野, 利達, 森田, 真, 山本, 一治, 脇山, 茂樹, 橋本, 光孝, 豊増, 泰介, 長家, 尚, 山元, 英崇
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2005
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Summary:症例は75歳の男性で, 2001年1月腹部大動脈瘤破裂に対し緊急開腹術を施行した際, 偶然空腸に径3cmの充実性腫瘍を認め, Y graft置換術および空腸部分切除術を施行した.病理組織学的に腫瘍は紡錐形細胞からなり, c-kit, CD34陽性でgastrointestinal stromal tumor (GIST) と診断された.核分裂像は50High-power field (HPF) あたり1個, MIB-1 labeling index は3%と低く, 病理組織学的には悪性の所見を認めなかった.2003年9月腹部CTで腹腔内に8cm大の腫瘤を認めたため, 腹腔内腫瘍の診断で10月開腹術を施行した.主腫瘍は大網に認め, 近傍の2個の小さな娘結節と共に切除した.病理組織学的には前回切除した小腸GISTと類似していたが, 核分裂像は50HPFあたり16個と多く認められた.小腸GIST, 大網腫瘍ともにc-kit遺伝子のexon11の変異 (codon564-576の欠失) を認め, 大網の腫瘍は前回小腸GISTの再発と診断された.術後8か月現在, 再発の兆候はない.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.38.1351