人工心臓による左心補助循環時の心機能の検討 特にUCG上の変化から

雑種成犬14頭を用い, 遠心ポンプにて左房一大動脈間Bypass (以下LHB)を行なった。Bypass率を全心拍出量の25%, 50%, 75%, 及び最大Bypass流量(約85-100%の間)とし, 正常心と左冠状動脈前下行枝結紮により作成した左心不全心について, 各流量における血行動態と断層心echo図を用いた心機能の評価を行った。LHB開始とともに, 左室の縮小と右室の拡大を認め, 同時にHR低下, SVとRVSWの増加及び2D-Echo上RVDdの拡大, LVDd/RVDdの減少が認められた。Bypass流量を75%からMax Bypaas率に変えるとUCG上RV Area EFが...

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Published in人工臓器 Vol. 14; no. 3; pp. 1061 - 1064
Main Authors 井村, 正史, 岡部, 学, 湯浅, 浩, 服部, 良二, 矢田, 公, 草川, 實, 宮村, 一男, 福山, 守, 魏, 啓明, 斉藤, 圭治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本人工臓器学会 15.06.1985
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ISSN0300-0818
1883-6097
DOI10.11392/jsao1972.14.1061

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Summary:雑種成犬14頭を用い, 遠心ポンプにて左房一大動脈間Bypass (以下LHB)を行なった。Bypass率を全心拍出量の25%, 50%, 75%, 及び最大Bypass流量(約85-100%の間)とし, 正常心と左冠状動脈前下行枝結紮により作成した左心不全心について, 各流量における血行動態と断層心echo図を用いた心機能の評価を行った。LHB開始とともに, 左室の縮小と右室の拡大を認め, 同時にHR低下, SVとRVSWの増加及び2D-Echo上RVDdの拡大, LVDd/RVDdの減少が認められた。Bypass流量を75%からMax Bypaas率に変えるとUCG上RV Area EFが著明に減少し, またIDSとIVSに近いRV free wallの心筋の収縮率は著明に低下し, RVの収縮部分は右室自由壁の中央部分に依存する状態となった。すなわちLV decompression によりもたらされた左室壁運動の低下がIVSを介して右室収縮効率の低下をきたしているためと考えられ, 長時間右室をこのような収縮効率の低下した状態におくならば, 時間経過とともに右心不全を招来する可能性もあると考えられた。
ISSN:0300-0818
1883-6097
DOI:10.11392/jsao1972.14.1061