抗凝固療法施行患者の全身麻酔下口腔外科手術12例の検討

抗凝固療法を受けている患者で口腔外科領域の全身麻酔による手術症例12例について検討した. 患者は全例抗凝固薬ワーファリンを服用している. 手術4~5日前にワーファリン内服を中止し, APTTがコントロールの1.5~2.0倍になるようヘパリンの点滴静注に変換した. 手術3~6時間前にヘパリンの点滴を中止し手術を行い, 術後は止血を確認しだいヘパリンを再開, 経口摂取開始とともにワーファリン内服を再開した. ヘパリン点滴静注はPT-INRが治療域に達した時点で中止した. 口腔外科領域の全身麻酔症例は術後の出血に対する処置が必ずしも容易ではなく, 抗凝固薬は休薬が望ましい. しかしながら, 術後ワー...

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Published in有病者歯科医療 Vol. 17; no. 3; pp. 173 - 180
Main Authors 片岡, 利之, 熊坂, 士, 守田, 誠吾, 貝淵, 信之, 桃木, 裕美子, 深田, 健治, 岡本, 俊宏, 丸岡, 靖史, 扇内, 秀樹, 安藤, 智博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本有病者歯科医療学会 31.12.2008
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Summary:抗凝固療法を受けている患者で口腔外科領域の全身麻酔による手術症例12例について検討した. 患者は全例抗凝固薬ワーファリンを服用している. 手術4~5日前にワーファリン内服を中止し, APTTがコントロールの1.5~2.0倍になるようヘパリンの点滴静注に変換した. 手術3~6時間前にヘパリンの点滴を中止し手術を行い, 術後は止血を確認しだいヘパリンを再開, 経口摂取開始とともにワーファリン内服を再開した. ヘパリン点滴静注はPT-INRが治療域に達した時点で中止した. 口腔外科領域の全身麻酔症例は術後の出血に対する処置が必ずしも容易ではなく, 抗凝固薬は休薬が望ましい. しかしながら, 術後ワーファリンを再開してもPT-INRが治療域に達するまでには平均7日間が必要であった. この期間は抗凝固能が不安定なため血栓塞栓症発症の危険性が高まる. 周術期の抗凝固能を, ヘパリンを用いて管理することは血栓形成による合併症予防に有効であることが示唆された.
ISSN:0918-8150
1884-667X
DOI:10.11255/jjmcp1992.17.173