胸部食道粘膜下層癌の悪性度に関する臨床病理学的検討

食道粘膜下層癌 (以下sm癌) の悪性度を, sm層への浸潤度, 発育浸潤形式, matrix metalloproteinase-2 (MMP-2) の発現より検討した.対象症例は31例で, 1) 浸潤度 (sm1: 6例, sm2: 15例, sm3: 10例) では, sm3の80%が0に1型, sm1では癌肉腫を除き全例0-IIa型であった.また, sm3にn (+), ly・v, 再発が多かった.2) 発育形式 (下方発育型: 13例, 表層発育型: 8例, 混合型: 10例) では, 下方発育型に0-I型が, 表層発育型に0-IIa型が多かった.n (+) は下方発育型と混合型に,...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 25; no. 7; pp. 1917 - 1923
Main Authors 島, 一郎, 山名, 秀明, 藤田, 博正, 掛川, 暉夫, 笹栗, 靖之, 入江, 康司, 森松, 稔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 1992
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Summary:食道粘膜下層癌 (以下sm癌) の悪性度を, sm層への浸潤度, 発育浸潤形式, matrix metalloproteinase-2 (MMP-2) の発現より検討した.対象症例は31例で, 1) 浸潤度 (sm1: 6例, sm2: 15例, sm3: 10例) では, sm3の80%が0に1型, sm1では癌肉腫を除き全例0-IIa型であった.また, sm3にn (+), ly・v, 再発が多かった.2) 発育形式 (下方発育型: 13例, 表層発育型: 8例, 混合型: 10例) では, 下方発育型に0-I型が, 表層発育型に0-IIa型が多かった.n (+) は下方発育型と混合型に, v (+) と再発は表層発育型に多かった.浸潤形式 (G1: 4例, G2: 12例, G3: 10例, G4C: 4例, G4D: 1例) では, G3以上に0-I型が多く, n (+) 頻度も高かった.3) MMP-2発現を9例 (29%) に認め, ly (+) と再発が多かった.以上より, 1) 0-I型は高度sm浸潤, 下方発育型, G3以上が多く, n (+), ly・vも高頻度で, 進行癌に準じた郭清が必要である.2) sm2以下でも表層発育型やMMP-2発現例は再発が多く, 強力な合併療法と厳重な経過観察が必要である.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.25.1917