巨大な肝細胞腺腫の一切除例 高分化型肝細胞癌との鑑別について

33歳の女性に発症した,異型性の乏しい,肝細胞への分化を示す細胞から成る巨大な肝腫瘍を切除した.肝硬変の併存はなく,欧米で数多く報告されている肝細胞腺腫の記載に一致する所見が確認された.肝細胞腺腫は高分化型肝細胞癌との鑑別が難しいとされているが,若年成人に多く,正常肝に発生すること,腫瘍径が比較的大きくなって発見されることが多いことなどの臨床的所見及び異型に乏しい腫瘍細胞がmonotonousな増殖を示す組織学的特徴によって通常容易に鑑別し得る.しかしながら,肝細胞腺腫が真の意味で良性腫瘍であるか否かについては多数の症例について生存期間などの臨床的検討を行う必要がある....

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Published in肝臓 Vol. 31; no. 7; pp. 796 - 803
Main Authors 金井, 歳雄, 都築, 俊治, 上田, 政和, 杉岡, 篤, 中安, 邦夫, 田代, 征夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 25.07.1990
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Summary:33歳の女性に発症した,異型性の乏しい,肝細胞への分化を示す細胞から成る巨大な肝腫瘍を切除した.肝硬変の併存はなく,欧米で数多く報告されている肝細胞腺腫の記載に一致する所見が確認された.肝細胞腺腫は高分化型肝細胞癌との鑑別が難しいとされているが,若年成人に多く,正常肝に発生すること,腫瘍径が比較的大きくなって発見されることが多いことなどの臨床的所見及び異型に乏しい腫瘍細胞がmonotonousな増殖を示す組織学的特徴によって通常容易に鑑別し得る.しかしながら,肝細胞腺腫が真の意味で良性腫瘍であるか否かについては多数の症例について生存期間などの臨床的検討を行う必要がある.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.31.796