貧血と低蛋白血症に対し胃全摘術が有効であった胃限局性若年性ポリポーシスの1例

症例は60歳の男性で, 40歳時に胃ポリポーシスを指摘され毎年経過観察を行っていた. 持続する貧血と低蛋白血症に対し鉄剤投与, プロトンポンプ阻害剤内服, Helicobacter pylori除菌などの内科的治療を行ったが抵抗性であり, 症状の増悪をみたため胃全摘術を施行した. 摘出標本では胃全体に無数のポリープが密生しており, 一部皺襞の肥厚も認めた. 明らかな家族歴はなく, 皮膚・毛髪・爪に異常所見を認めず, 病理組織検査を含め胃限局性若年性ポリポーシスと診断した. 若年性ポリポーシスの胃限局型は自験例を含め本邦で20例報告されており, そのうち9例で腺癌を合併していた. 長期予後は良好...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 37; no. 9; pp. 1525 - 1530
Main Authors 高橋, 耕平, 大谷, 方子, 久米田, 茂喜, 小松, 大介, 青柳, 大樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2004
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.37.1525

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Summary:症例は60歳の男性で, 40歳時に胃ポリポーシスを指摘され毎年経過観察を行っていた. 持続する貧血と低蛋白血症に対し鉄剤投与, プロトンポンプ阻害剤内服, Helicobacter pylori除菌などの内科的治療を行ったが抵抗性であり, 症状の増悪をみたため胃全摘術を施行した. 摘出標本では胃全体に無数のポリープが密生しており, 一部皺襞の肥厚も認めた. 明らかな家族歴はなく, 皮膚・毛髪・爪に異常所見を認めず, 病理組織検査を含め胃限局性若年性ポリポーシスと診断した. 若年性ポリポーシスの胃限局型は自験例を含め本邦で20例報告されており, そのうち9例で腺癌を合併していた. 長期予後は良好であり, 治療として積極的な外科的切除を考慮すべきであると思われた.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.37.1525