消化器癌手術における遺伝子組み替えヒトエリスロポエチン貯血前投与の検討
消化器癌手術計31症例を対象とし, 受診時ヘモグロビン (Hb) 濃度13.0g/dl未満で術前貯血期間が十分に得られた16症例に対し, 皮下注用遺伝子組み替えヒトエリスロポエチン (r-HuEPO: エスポー) を自己血貯血前より投与 (前打ち投与群) し, 貯血時にのみr-HuEPOを投与した15例 (前打ち非投与群) と比較検討した. 前打ち投与群におけるr-HuEPO初回投与時のHb濃度は11.9±1.0g/dlであったが, 初回貯血時には12.6±1.3g/dlと有意に上昇し, 術前自己血貯血量は914±195mlとなった. また, 前打ち投与群における術前Hb増加量および貧血回復率...
Saved in:
Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 32; no. 5; pp. 1192 - 1197 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
1999
|
Online Access | Get full text |
Cover
Loading…
Summary: | 消化器癌手術計31症例を対象とし, 受診時ヘモグロビン (Hb) 濃度13.0g/dl未満で術前貯血期間が十分に得られた16症例に対し, 皮下注用遺伝子組み替えヒトエリスロポエチン (r-HuEPO: エスポー) を自己血貯血前より投与 (前打ち投与群) し, 貯血時にのみr-HuEPOを投与した15例 (前打ち非投与群) と比較検討した. 前打ち投与群におけるr-HuEPO初回投与時のHb濃度は11.9±1.0g/dlであったが, 初回貯血時には12.6±1.3g/dlと有意に上昇し, 術前自己血貯血量は914±195mlとなった. また, 前打ち投与群における術前Hb増加量および貧血回復率は, 有意差はないものの前打ち非投与群に比べ高値を示す傾向を示した. 貧血を合併した消化器癌症例におけるrh-EPO貯血前投与は, 貯血に伴う貧血進行の防止や自己血貯血量の確保に有用となりうる可能性が示唆された. |
---|---|
ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.32.1192 |