高内相W/Oエマルションの新技術

高内相エマルションは高い内相比率のため高粘度のクリーム状を呈する。種々の物質を大きな内相に溶解できることから化粧品, 医薬品の剤型として有用である。特にW/0型のエマルションは応用性は高いが乳化の安定性に課題があった。エルカ酸 (炭素数22, 二重結合1個) を疎水基とするショ糖脂肪酸エステル (SE), ポリグリセリン脂肪酸エステル (GE) は特徴的な機能を有し, 食品産業で高く評価されている。われわれは, 油相からこのエルカ酸を親油基とする親油性SEまたはGE, かつ水相から高親水性のSEまたはGEを併用することによって, 90%を越える含水率でも高い安定性を維持できるW/Oエマルション...

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Published in日本化粧品技術者会誌 Vol. 34; no. 3; pp. 299 - 306
Main Authors 大友, 直也, 渡邉, 由子, 鶴田, 美貴夫
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本化粧品技術者会 2000
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Summary:高内相エマルションは高い内相比率のため高粘度のクリーム状を呈する。種々の物質を大きな内相に溶解できることから化粧品, 医薬品の剤型として有用である。特にW/0型のエマルションは応用性は高いが乳化の安定性に課題があった。エルカ酸 (炭素数22, 二重結合1個) を疎水基とするショ糖脂肪酸エステル (SE), ポリグリセリン脂肪酸エステル (GE) は特徴的な機能を有し, 食品産業で高く評価されている。われわれは, 油相からこのエルカ酸を親油基とする親油性SEまたはGE, かつ水相から高親水性のSEまたはGEを併用することによって, 90%を越える含水率でも高い安定性を維持できるW/Oエマルションを調製することができた。両乳化剤の併用は, 特に低温域での安定性向上に有効であり, 高温域の安定性に寄与する多価アルコールの添加との組み合わせにより, 低温から高温までの幅広い温度領域で安定なW/Oエマルションが可能となった。両乳化剤の併用は強固な界面膜の形成に寄与したものと推測される。親水性乳化剤としてポリオキシエチレン系の乳化剤を用いた場合には転相し, W/O乳化物とならなかった。SEおよびGEの強い親水性もしくは疎油性が, 両乳化剤併用の相乗作用発現に重要な役割を持っているものと推測する。油相には多様な化粧品用の油脂原料が使用できた。
ISSN:0387-5253
1884-4146
DOI:10.5107/sccj.34.299