片側性唇顎口蓋裂患者の上下顎移動術に伴う軟組織側貌の変化 Cheek lineの検討
これまで上下顎移動術に伴う軟組織側貌の変化については,顎矯正手術に伴う硬組織の移動量と軟組織の移動量が必ずしも一致しないことが報告されている。しかしながら,そのほとんどが鼻尖から上唇にかけての変化や口唇に関するもので,顎移動術に伴って変化するcheek line(頬部軟組織外形線)に関する報告は少なく,定量的な報告はない。そこで,上下顎移動術を施行した前歯部反対咬合を呈する片側性唇顎口蓋裂患者において,cheek lineを含めた軟組織側貌の形態変化について検討した。 対象は新潟大学歯学部附属病院にて上下顎移動術を行った前歯部反対咬合を呈する片側性唇顎口蓋裂患者12例(男性4名,女性8名)であ...
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Published in | 日本口蓋裂学会雑誌 Vol. 25; no. 3; pp. 224 - 232 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本口蓋裂学会
31.10.2000
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Subjects | |
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ISSN | 0386-5185 2186-5701 |
DOI | 10.11224/cleftpalate1976.25.3_224 |
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Summary: | これまで上下顎移動術に伴う軟組織側貌の変化については,顎矯正手術に伴う硬組織の移動量と軟組織の移動量が必ずしも一致しないことが報告されている。しかしながら,そのほとんどが鼻尖から上唇にかけての変化や口唇に関するもので,顎移動術に伴って変化するcheek line(頬部軟組織外形線)に関する報告は少なく,定量的な報告はない。そこで,上下顎移動術を施行した前歯部反対咬合を呈する片側性唇顎口蓋裂患者において,cheek lineを含めた軟組織側貌の形態変化について検討した。 対象は新潟大学歯学部附属病院にて上下顎移動術を行った前歯部反対咬合を呈する片側性唇顎口蓋裂患者12例(男性4名,女性8名)であり,(1)上顎Le Fort I型骨切り術を施行した7例(上顎全移動群)と,(2)患側のみのLe Fort I型骨切り術を施行した5例(上顎片側多動群)の2群に分類した。 資料として手術前および手術後の側面セファログラムを用いた。硬組織軟組織の計測項目に加えてcheeklineの角度および前後的変化を計測し,軟組織側貌の形態変化について検討した。 結果としてcheek lineの変化は,上顎全移動群,上顎片側移動群ともに,下眼瞼下部より鼻尖の高さにかけては前方へ傾斜し,鼻尖の高さから下の方では後方に傾斜した。このことから,cheek lineは前方へ凸の形態を呈するようになり,軟組織側貌の改善が認められた。 |
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ISSN: | 0386-5185 2186-5701 |
DOI: | 10.11224/cleftpalate1976.25.3_224 |