当クリニックにおける地域での乳癌診療の現状、役割、問題点

当院は乳腺専門クリニックとして2004年4月に開院した。開院後5年を経過した当クリニックでの地域での現状,役割,問題点等を検討した。対象は04年4月~09年4月の当クリニック乳腺初診患者9,194例。患者内訳は,高知市からの住民検診1,325例,診療検診,その他5,104例,他医よりの精密検査依頼2,765例であった。このうち,乳癌発見数(率)は住民検診5例(0.4%),診療検診,その他222例(5.3%),精密検査依頼288例(10.4%)であり,合計515例(5.6%)であった。当クリニックでは,入院設備を持たないため,全麻手術は他施設(厚生年金高知リハビリテーション病院,国立病院機構高知...

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Published in日本乳癌検診学会誌 Vol. 19; no. 2; pp. 136 - 140
Main Author 山川, 卓
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本乳癌検診学会 30.06.2010
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Summary:当院は乳腺専門クリニックとして2004年4月に開院した。開院後5年を経過した当クリニックでの地域での現状,役割,問題点等を検討した。対象は04年4月~09年4月の当クリニック乳腺初診患者9,194例。患者内訳は,高知市からの住民検診1,325例,診療検診,その他5,104例,他医よりの精密検査依頼2,765例であった。このうち,乳癌発見数(率)は住民検診5例(0.4%),診療検診,その他222例(5.3%),精密検査依頼288例(10.4%)であり,合計515例(5.6%)であった。当クリニックでは,入院設備を持たないため,全麻手術は他施設(厚生年金高知リハビリテーション病院,国立病院機構高知病院)に著者が出張している。乳癌手術総数は484例であり,乳房温存410例,乳切除74例,その成績は5生率98.9%,5年無再発率97.9%であった(平均観察期間814日)。また,乳癌診断,治療以外に一般への乳癌知識啓発のため,院内セミナーも開催している。問題点は,末期患者における終末期ケアへの対応,マンパワー不足等が挙げられる。地域における乳腺クリニックは,乳癌死の減少を目指して,専門性の維持向上,厳密な精度管理およびさまざまな地域医療連携の構築が必要である。
ISSN:0918-0729
1882-6873
DOI:10.3804/jjabcs.19.136