本邦におけるトレーニング指導者の救急対応に関する実態と課題

【トレーニング現場へのアイデア】トレーニング施設で発生する傷害は、特にフリーウエイト トレーニング中に多発する傾向があり、部位では腰部、傷害分類では筋・腱・筋膜の損傷が比 較的多い。トレーニング指導者はこれらを踏まえた救急対応能力の習得をすべきである。トレー ニング指導者は救急対応に関する知識・技術の向上を図るとともに、施設内での事故対策を含 む安全管理体制を十分に講じることが必要だと考えられる。 【目的】本邦のトレーニング指導者を対象とした救急対応に関する報告は見当たらず、その実 態は不明である。本研究は、トレーニング指導者を対象とした救急対応に関する実態とその課 題を明らかにし、トレーニン...

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Published inConference Proceedings of Japan Society of Scientific Coaching forTraining Vol. 2022; p. 15
Main Authors YAMASHITA Mio, 山本 利春, KASAHARA Masashi, 清水 伸子, 佐野 颯斗, MORI Miyuki, ARUGA Seiji, ARUGA Masashi, 菅野 晶明, ABUTANI Hiroyuki, HISAMURA Hiroshi, TAMURA Naoyuki, OGAWA Kyoji, SHIMA Norihiro, SANOMURA Manabu
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本トレーニング指導学会 2022
Japan Society of Scientific Coaching for Training
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ISSN2433-7773
2434-3323
DOI10.32171/cpjssct.2022.0_15

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Summary:【トレーニング現場へのアイデア】トレーニング施設で発生する傷害は、特にフリーウエイト トレーニング中に多発する傾向があり、部位では腰部、傷害分類では筋・腱・筋膜の損傷が比 較的多い。トレーニング指導者はこれらを踏まえた救急対応能力の習得をすべきである。トレー ニング指導者は救急対応に関する知識・技術の向上を図るとともに、施設内での事故対策を含 む安全管理体制を十分に講じることが必要だと考えられる。 【目的】本邦のトレーニング指導者を対象とした救急対応に関する報告は見当たらず、その実 態は不明である。本研究は、トレーニング指導者を対象とした救急対応に関する実態とその課 題を明らかにし、トレーニング指導者が事故発生時に安全且つ、すみやかに救急対応ができる ようにするための基礎資料とすることを目的とした。 【方法】実験または測定環境:日本トレーニング指導者協会正会員を対象に、Googleフォーム を用いたウェブ調査を実施した。 実験または測定参加者:431名の指導者から回答を得て、全ての回答に欠損がなく、現在の業 務区分が学生以外に該当する420名を分析対象とした。(男性:339名、女性:81名、年齢:38.4± 12.1歳、活動歴12.1±9.8年) 実験または測定手順及び分析方法:調査内容は、①対象者の基本的属性、②トレーニング施設 での救急体制、③指導者の救急対応に関する実態、の3項目で構成された。 統計分析:マイクロソフトExcelを用いて単純集計を行った。 【結果】本対象者のうち、スポーツ現場またはトレーニング施設で傷害発生場面に遭遇した経 験を有する者は74.8%(314名)であり、救急対応を行った経験を有する者は72.1%(303名)であっ た。想定し得る傷害発生時の実施内容はフリーウエイトトレーニングが86.1%(297名)と最も多 く、その種目順位は、1位:スクワット55.9%(193名)、2位:クイックリフト(パワークリーン、 クリーン&ジャーク、ハイプルなど)55.7%(192名)、3位:デッドリフト51.6%(178名)であった。 加えて、傷害発生部位としては腰が78.8%(272名)、傷害分類としては筋・腱・筋膜の損傷が 73.9%(255名)で最も多い結果であった。これらの結果に対し、指導者やトレーニング施設が講 じている救急体制に関しては、94.8%(398名)が救急対応関連の講習会を受講しており、その頻 度として49.2%(196名)が年に1回程度、と回答した。また、これまでに本対象が受講して経験 を有する内容では一次救命処置97.2%(387名)、次いで熱中症への対応53.3%(212名)が多かった。 さらに、トレーニング施設では全体の73.3%(308名)が緊急時対応計画を立案し、82.1%(345名) が緊急時対応計画の掲示、55.2%(170名)がそれらの定期的な見直しを行っていることが明らか になった。
ISSN:2433-7773
2434-3323
DOI:10.32171/cpjssct.2022.0_15