更生保護法施行前後における保護観察実務の動向と今後の展望 (課題研究 刑事司法と福祉の連携の在り方-犯罪行為者の社会復帰支援の現状と課題) 成人の保護観察を中心に

更生保護法が施行されて6年が経過し,施行前後から現在にかけて様々な改革が進められてきた.また,刑の一部の執行猶予制度の導入等を見据え,再犯防止のための新たな施策も始まっている.そこで,本稿では,更生保護法施行の前後で,主に成人に対する保護観察の運用にどのような変化が見られるか,統計的な分析を行うとともに,最近の新たな動きも踏まえて,更生保護の今後の展望と課題等について論じる.保護観察の運用に関しては,専門的処遇プログラムの実施をはじめとして,保護観察官が直接関与する場面が多くなっているほか,社会生活支援の面で,関係機関・団体と連携した住居支援,就労支援の枠組みが整ってきており,充実が図られてき...

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Published in犯罪社会学研究 Vol. 39; pp. 7 - 23
Main Author 吉田, 研一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本犯罪社会学会 2014
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ISSN0386-460X
2424-1695
DOI10.20621/jjscrim.39.0_7

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Summary:更生保護法が施行されて6年が経過し,施行前後から現在にかけて様々な改革が進められてきた.また,刑の一部の執行猶予制度の導入等を見据え,再犯防止のための新たな施策も始まっている.そこで,本稿では,更生保護法施行の前後で,主に成人に対する保護観察の運用にどのような変化が見られるか,統計的な分析を行うとともに,最近の新たな動きも踏まえて,更生保護の今後の展望と課題等について論じる.保護観察の運用に関しては,専門的処遇プログラムの実施をはじめとして,保護観察官が直接関与する場面が多くなっているほか,社会生活支援の面で,関係機関・団体と連携した住居支援,就労支援の枠組みが整ってきており,充実が図られてきている.保護観察対象者の再処分率,取消し率等については,やや低下しているものの,今後の推移を見守る必要がある.刑の一部の執行猶予制度を円滑に運用するとともに,保護観察の実効性を高めていくためには,検察,矯正,福祉,医療,就労等の関係機関・団体との一層の連携の強化が課題となる.
ISSN:0386-460X
2424-1695
DOI:10.20621/jjscrim.39.0_7