尿路性器感染症における E. coli の病原性因子について その3. 病原性因子としての線毛の尿路臓器特異性
単純性尿路性器感染症由来 E. coli の regulated phase variants 5株と非線毛株1株を用いて, E. coli の膀胱, 腎盂, 腎ならびに前立腺に対する in vitro での付着能の検討を行った. 膀胱ならびに腎盂の移行上皮に対しては type 1線毛を有する株が強い付着能を有していたが, P線毛を含むMR線毛を有する株は付着しなかった. 腎尿細管上皮に対してはP線毛を有するOEN-132株が付着能を有し, type 1線毛を介する付着は認められなかった. 前立腺腺上皮に対してはP線毛以外のMR線毛を有するOEP-141, OEP-162株が強い付着能を有して...
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Published in | 日本泌尿器科學會雑誌 Vol. 79; no. 7; pp. 1177 - 1186 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
社団法人 日本泌尿器科学会
20.07.1988
The Japanese Urological Association 社団法人日本泌尿器科学会 |
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ISSN | 0021-5287 1884-7110 |
DOI | 10.5980/jpnjurol1928.79.7_1177 |
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Summary: | 単純性尿路性器感染症由来 E. coli の regulated phase variants 5株と非線毛株1株を用いて, E. coli の膀胱, 腎盂, 腎ならびに前立腺に対する in vitro での付着能の検討を行った. 膀胱ならびに腎盂の移行上皮に対しては type 1線毛を有する株が強い付着能を有していたが, P線毛を含むMR線毛を有する株は付着しなかった. 腎尿細管上皮に対してはP線毛を有するOEN-132株が付着能を有し, type 1線毛を介する付着は認められなかった. 前立腺腺上皮に対してはP線毛以外のMR線毛を有するOEP-141, OEP-162株が強い付着能を有していた. 以上の成績より type 1線毛は全尿路の移行上皮に対する定着因子となり, 腎ならびに前立腺にはそれぞれ異なる特異性を有するMR線毛が定着因子となり得る可能性があること, ならびに type 1線毛とMR線毛との phase variant の存在が病原性因子として重要であることが示唆された. |
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ISSN: | 0021-5287 1884-7110 |
DOI: | 10.5980/jpnjurol1928.79.7_1177 |