大都市から地方への移住と社会経済的要因の関連 Elastic net回帰を用いたポアソン重力モデルによる分析
地方から都市圏への人口流出が続く中,移住誘致のための取り組みが全国の市区町村で実施されている。その一方で,日本国内の人口移動に関する研究は,市区町村単位で解析したもの,大都市から地方への人口移動流を対象としたものが少なく,これらの人口移動に関連する社会・経済的な要因は未だ明らかになっていない。本研究では,これを明らかにするため,大都市から地方への人口移動量と社会・経済的な要因(所得,就業機会,アメニティなど,移動先と移動元合わせて53変数)の関連を市区町村単位で網羅的に分析した。一般に,回帰モデルはモデルに使用できる変数の数の制限や多重共線性の問題があり,多くの変数を使用することは難しい。これ...
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Published in | 社会情報学 Vol. 11; no. 3; pp. 19 - 33 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 社会情報学会
31.03.2023
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Subjects | |
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ISSN | 2187-2775 2432-2148 |
DOI | 10.14836/ssi.11.3_19 |
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Summary: | 地方から都市圏への人口流出が続く中,移住誘致のための取り組みが全国の市区町村で実施されている。その一方で,日本国内の人口移動に関する研究は,市区町村単位で解析したもの,大都市から地方への人口移動流を対象としたものが少なく,これらの人口移動に関連する社会・経済的な要因は未だ明らかになっていない。本研究では,これを明らかにするため,大都市から地方への人口移動量と社会・経済的な要因(所得,就業機会,アメニティなど,移動先と移動元合わせて53変数)の関連を市区町村単位で網羅的に分析した。一般に,回帰モデルはモデルに使用できる変数の数の制限や多重共線性の問題があり,多くの変数を使用することは難しい。これらの問題に対処するため,本研究では,モデル内に取り込める説明変数の数の制限が弱く,かつ相関の強い変数の回帰係数の絶対値が近い値をとる特徴(Grouping効果)をもつElastic net回帰を使用した。この結果,重力モデルの基本変数である距離,移動元の総人口,移動先の総人口を含む20の変数が移動人口と関連のあるものとして選択された。今後は年齢や子供の有無など属性別の分析,複数年次のパネルデータを用いた各要因の人口移動量への影響評価が必要である。 |
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ISSN: | 2187-2775 2432-2148 |
DOI: | 10.14836/ssi.11.3_19 |