前立腺移行上皮癌症例および膀胱移行上皮癌の前立腺浸潤例の検討 I) 前立腺移行上皮癌症例

前立腺に移行上皮癌が発生する3つの可能性を代表する3症例を経験した. 症例1は, 多発性尿路上皮癌と思われる症例で, 66歳. 膀胱内に異常は認めなかったが, 遠位尿道た2個の同時性腫瘍を認めた. 膀胱前立腺尿道全摘除術, リンパ節郭清術を施行し, 病理所見は, 前立腺移行上皮癌, PT4N3M0, Grade 3であった. 放射線, 化学療法を施行したが7カ月後, 癌死した. 症例2は, 原発性前立腺移行上皮癌と思われる. 76歳. 膀胱尿道鏡では明らかな腫瘍は認めなかった. 膀胱前立腺全摘除術, リンパ節郭清術を施行し, 病理所見は, 前立腺移行上皮癌, pT4N4M0, Grade 2で...

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Published in日本泌尿器科學會雑誌 Vol. 78; no. 8; pp. 1365 - 1371
Main Authors 高井, 計弘, 垣添, 忠生, 鳶巣, 賢一, 松本, 恵一, 岸, 紀代三
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本泌尿器科学会 20.08.1987
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Summary:前立腺に移行上皮癌が発生する3つの可能性を代表する3症例を経験した. 症例1は, 多発性尿路上皮癌と思われる症例で, 66歳. 膀胱内に異常は認めなかったが, 遠位尿道た2個の同時性腫瘍を認めた. 膀胱前立腺尿道全摘除術, リンパ節郭清術を施行し, 病理所見は, 前立腺移行上皮癌, PT4N3M0, Grade 3であった. 放射線, 化学療法を施行したが7カ月後, 癌死した. 症例2は, 原発性前立腺移行上皮癌と思われる. 76歳. 膀胱尿道鏡では明らかな腫瘍は認めなかった. 膀胱前立腺全摘除術, リンパ節郭清術を施行し, 病理所見は, 前立腺移行上皮癌, pT4N4M0, Grade 2であった. 同時に前立腺腺癌 (未分化型) を合併していた. 化学療法を施行したが2カ月後, 癌死した. 症例3は, 膀胱癌の前立腺浸潤によると思わわれる, 56歳. 膀胱癌の既往があったが, 当科治療時点では, 膀胱内に腫瘍を認めなかった. 膀胱前立腺全摘除術, リンパ節郭清術を施行し, 病理所見は, 前立腺移行上皮癌, PT4N0M0, Grade 3であり, 前立腺尿道部にCISを合併していた. 11カ月後尿道再発があり, 尿道摘除し, 現在癌生存である. これらの3症例と, 前立腺に発生する通常の癌である前立腺腺癌とを比較検討した.
ISSN:0021-5287
1884-7110
DOI:10.5980/jpnjurol1928.78.8_1365