運動時に胸が痛む初老期男性(不安定狭心症を契機に診断された多発性骨髄腫の1症例)

「要約」不安定狭心症を契機に, IgAκ型の多発性骨髄腫と診断された60歳男性症例を経験した. 多発性骨髄腫は, 骨破壊による腰背部痛で発症することがほとんど(約70%)であるが, 本例では貧血(Hb8.3g/dL), 過粘稠症候群(IgA5, 760mg/dL), 赤血球連銭形成に伴う血液流動学的異常による狭心症状が初発症状であったと考えられた. 冠動脈造影上有意狭窄は指摘できず, 多発性骨髄腫の治療により狭心症状は改善した. 心アミロイドーシス合併なしの多発性骨髄腫のみの段階で虚血性心疾患が誘発されたまれな症例と考えられた. また多発性骨髄腫については, 著明な正球性貧血, 高蛋白血症に注...

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Published in日本未病システム学会雑誌 Vol. 10; no. 1; pp. 171 - 176
Main Authors 宮永哲, 林洋介, 橋本浩一, 小武海公明, 芝田貴裕, 谷口郁夫, 望月正武, 海渡健, 薄井紀子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本未病システム学会 2004
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Summary:「要約」不安定狭心症を契機に, IgAκ型の多発性骨髄腫と診断された60歳男性症例を経験した. 多発性骨髄腫は, 骨破壊による腰背部痛で発症することがほとんど(約70%)であるが, 本例では貧血(Hb8.3g/dL), 過粘稠症候群(IgA5, 760mg/dL), 赤血球連銭形成に伴う血液流動学的異常による狭心症状が初発症状であったと考えられた. 冠動脈造影上有意狭窄は指摘できず, 多発性骨髄腫の治療により狭心症状は改善した. 心アミロイドーシス合併なしの多発性骨髄腫のみの段階で虚血性心疾患が誘発されたまれな症例と考えられた. また多発性骨髄腫については, 著明な正球性貧血, 高蛋白血症に注目することで診断に至っており, 未病期症例といえる.
ISSN:1347-5541
DOI:10.11288/mibyou1998.10.171