ALS(筋萎縮性側索硬化症)

筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis=ALS)は運動神経系が選択的に障害される神経変性疾患である. 平均発症年齢は52, 3歳で, 現在有効な治療法はなく, 呼吸筋を含む全身の骨格筋が侵され, 人工呼吸器を装着しなければ平均3~5年で死亡するといわれている. 従って, 患者自身が病気を十分に理解し, 運動嚥下コミュニケーション呼吸などの機能低下に対処していくことが必要であり, 医療者側は患者家族に症状に応じた情報提供を早めに行い, 対処方法を共に考えていくことが非常に重要である. 気管切開下人工呼吸器(TIV)装着の選択に際しては, 1 装着後も病気は...

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Published in医療 Vol. 56; no. 5; pp. 271 - 273
Main Author 難波, 玲子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 20.05.2002
国立医療学会
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Summary:筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis=ALS)は運動神経系が選択的に障害される神経変性疾患である. 平均発症年齢は52, 3歳で, 現在有効な治療法はなく, 呼吸筋を含む全身の骨格筋が侵され, 人工呼吸器を装着しなければ平均3~5年で死亡するといわれている. 従って, 患者自身が病気を十分に理解し, 運動嚥下コミュニケーション呼吸などの機能低下に対処していくことが必要であり, 医療者側は患者家族に症状に応じた情報提供を早めに行い, 対処方法を共に考えていくことが非常に重要である. 気管切開下人工呼吸器(TIV)装着の選択に際しては, 1 装着後も病気は進行し一旦装着するとはずすことが困難であり, 装着して「生きる」ことの意味を患者自身によく考えてもらうこと, 2 長期入院可能な施設は限られ在宅療養を選択しなければならないことが多い現状で, 装着後の療養の場を整備することが必要であること, の2点を踏まえ, 患者自身が家族とよく相談のうえ自己決定すべきである. ALSにおける人工呼吸器治療のリスクマネジメントとして, 1 装着時期の問題, 2 合併症と対策, 3 在宅人工呼吸(HMV), について述べる.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.56.271