細胞接着ドメインによる肝転移抑制に関する研究

癌の浸潤・転移の過程での細胞接着分子の役割に着目し, マウス肝転移モデルにおいて細胞接着ドメイン投与を行い, 癌細胞との接着相互作用を制御することにより, 癌転移の抑制を検討した.colon26/TC-1の1×103個をCDF1マウスの前腸間膜静脈より注入し肝転移モデルを作製した.細胞接着ドメインはヒト血漿よりフィプロネクチンを抽出単離し, RGDを含むドメインのみを部分精製した.フィプロネクチン投与群, フィプロネクチン接着ドメイン投与群, コントロール群を設定し, 4週後に犠牲死させ肝転移結節数を検討した.コントロール群に比ベフィプロネクチン投与群は促進され, フィブロネクチン接着ドメイン...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 29; no. 4; pp. 884 - 887
Main Authors 斎藤, 登, 三橋, 牧, 林, 達弘, 永田, 仁, 亀岡, 信悟, 浜野, 恭一, 春宮, 覚, 藤本, 大三郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 1996
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Summary:癌の浸潤・転移の過程での細胞接着分子の役割に着目し, マウス肝転移モデルにおいて細胞接着ドメイン投与を行い, 癌細胞との接着相互作用を制御することにより, 癌転移の抑制を検討した.colon26/TC-1の1×103個をCDF1マウスの前腸間膜静脈より注入し肝転移モデルを作製した.細胞接着ドメインはヒト血漿よりフィプロネクチンを抽出単離し, RGDを含むドメインのみを部分精製した.フィプロネクチン投与群, フィプロネクチン接着ドメイン投与群, コントロール群を設定し, 4週後に犠牲死させ肝転移結節数を検討した.コントロール群に比ベフィプロネクチン投与群は促進され, フィブロネクチン接着ドメイン投与群は10μg/mlで約50%の抑制効果が認められた.転移抑制物質として接着ドメインは癌転移過程で癌細胞表面のレセプター上で本来の接着分子との競合による接着阻害により, 有効な抗接着療法の1つとなる可能性が示唆された.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.29.884