巨大な閉鎖リンパ節転移を伴った微小直腸カルチノイドの1例

直腸カルチノイドは内視鏡検査の普及に伴い微小な病変として発見されることが多くなってきているが, 腫瘍径20mm以下, 壁深達度smの症例でもリンパ節転移や肝転移の頻度は低くはない. 今回わずか8mm大の直腸原発カルチノイドに巨大な骨盤内リンパ節転移を伴った1例を経験した. 症例は79歳の女性で, 発熱と左下肢浮腫を主訴とし, 腹部CTでは約13cm大の内部壊死を伴った巨大腫瘤が骨盤腔を占居し左外腸骨静脈を圧排していた. 経皮的針生検にてカルチノイドと診断, 下部消化管内視鏡検査で下部直腸に径約8mm大の粘膜下腫瘍を認め, 骨盤内腫瘍は直腸カルチノイドからのリンパ節転移と判断した. 原発巣は経肛...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 40; no. 4; pp. 491 - 496
Main Authors 山田, 栄治, 森, 章, 長山, 聡, 岡本, 珠紀, 小山, 貴, 伊藤, 僚子, 小野寺, 久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2007
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Summary:直腸カルチノイドは内視鏡検査の普及に伴い微小な病変として発見されることが多くなってきているが, 腫瘍径20mm以下, 壁深達度smの症例でもリンパ節転移や肝転移の頻度は低くはない. 今回わずか8mm大の直腸原発カルチノイドに巨大な骨盤内リンパ節転移を伴った1例を経験した. 症例は79歳の女性で, 発熱と左下肢浮腫を主訴とし, 腹部CTでは約13cm大の内部壊死を伴った巨大腫瘤が骨盤腔を占居し左外腸骨静脈を圧排していた. 経皮的針生検にてカルチノイドと診断, 下部消化管内視鏡検査で下部直腸に径約8mm大の粘膜下腫瘍を認め, 骨盤内腫瘍は直腸カルチノイドからのリンパ節転移と判断した. 原発巣は経肛門的に局所切除を行い, 骨盤内腫瘍は開腹にて切除した. 病理組織学的に骨盤内腫瘍は直腸カルチノイドの閉鎖リンパ節転移と診断された. 骨盤腔内腫瘍の鑑別には消化管カルチノイドの関与も考慮し, 消化管の精査も必要であると考えられた.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.40.491