血清KL-6が高値を示し, 病勢に一致し変動した薬剤性肺炎の1例

近年, 薬剤性肺炎は増加している. しかし, 全ての薬剤が薬剤性肺炎を発症させ得る可能性を持っており, さらに診断法に確実なものはなく, 診断に苦慮することは多い. 我々は既に薬剤性肺炎症例において血清KL-6が高値となり, 本症の診断に有用であることを報告している. 今回我々は小柴胡湯による薬剤性肺炎症例で血清KL-6値を経時的に追跡し得た症例を経験したので報告する. 症例は67歳, 男性で発熱, 咳嗽, 呼吸困難を主訴として入院となった. 胸部X線写真で両側に線状, 粒状, 網状陰影を認めた. 入院後症状, 胸部X線上陰影, 検査データの軽快を認め, さらに再服薬にて再発症したことより薬剤...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本胸部疾患学会雑誌 Vol. 35; no. 7; pp. 813 - 817
Main Authors 松島, 敏春, 中島, 正光, 真鍋, 俊明, 二木, 芳人, 橋口, 浩二, 見手倉, 久冶
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 社団法人 日本呼吸器学会 25.07.1997
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0301-1542
1883-471X
DOI10.11389/jjrs1963.35.813

Cover

More Information
Summary:近年, 薬剤性肺炎は増加している. しかし, 全ての薬剤が薬剤性肺炎を発症させ得る可能性を持っており, さらに診断法に確実なものはなく, 診断に苦慮することは多い. 我々は既に薬剤性肺炎症例において血清KL-6が高値となり, 本症の診断に有用であることを報告している. 今回我々は小柴胡湯による薬剤性肺炎症例で血清KL-6値を経時的に追跡し得た症例を経験したので報告する. 症例は67歳, 男性で発熱, 咳嗽, 呼吸困難を主訴として入院となった. 胸部X線写真で両側に線状, 粒状, 網状陰影を認めた. 入院後症状, 胸部X線上陰影, 検査データの軽快を認め, さらに再服薬にて再発症したことより薬剤性肺炎と確定診断した. 血清KL-6値は薬剤性肺炎発症早期に高値となり, 症状, 検査データ, 胸部X線写真上陰影の軽快と共に減少し, 正常範囲内となった. 血清KL-6は薬剤性肺炎の血清マーカーとして有用と考えられた.
ISSN:0301-1542
1883-471X
DOI:10.11389/jjrs1963.35.813