直腸穿通により骨盤内膿瘍および脊椎硬膜外膿瘍を来した1例

症例は38歳の男性で, 栄養障害で通院中の神経精神科に入院した. 入院後40℃の発熱を生じ, 約1か月後には右足底のしびれ, ついで右下肢の脱力および膀胱直腸機能障害の出現を認めた. 同日MRIにて硬膜外膿瘍が疑われ, 病院連携のもと当院放射線科に精査を依頼された. その結果, 直腸近傍の炎症が波及した病変と診断され, 当院高度救命救急センターに転送された. 搬入時における腹部造影CTおよび注腸造影X線検査にて, 腹腔内に膿瘍を認めないが, 下部直腸において造影剤の腸管外漏出を認め, 直腸穿通と診断された. 直腸穿通によるL1~S5における硬膜外膿瘍と診断し, T11~S1の棘突起右縁切除,...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 40; no. 5; pp. 665 - 670
Main Authors 橋本, 功二, 浅井, 康文, 平田, 公一, 磯部, 将人, 奈良, 理, 喜屋武, 玲子, 山, 直也, 島, 宏彰, 江副, 英理, 古畑, 智久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2007
Online AccessGet full text
ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.40.665

Cover

More Information
Summary:症例は38歳の男性で, 栄養障害で通院中の神経精神科に入院した. 入院後40℃の発熱を生じ, 約1か月後には右足底のしびれ, ついで右下肢の脱力および膀胱直腸機能障害の出現を認めた. 同日MRIにて硬膜外膿瘍が疑われ, 病院連携のもと当院放射線科に精査を依頼された. その結果, 直腸近傍の炎症が波及した病変と診断され, 当院高度救命救急センターに転送された. 搬入時における腹部造影CTおよび注腸造影X線検査にて, 腹腔内に膿瘍を認めないが, 下部直腸において造影剤の腸管外漏出を認め, 直腸穿通と診断された. 直腸穿通によるL1~S5における硬膜外膿瘍と診断し, T11~S1の棘突起右縁切除, 硬膜外膿瘍ドレナージ, Hartmann手術を行った. 直腸穿通による骨盤内膿瘍は初期症状が非特異的であり, 早期診断は容易ではない. 本症例は硬膜外膿瘍に起因する神経症状を呈したにも関わらず, 後遺症なく治癒しえた1 例であった.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.40.665