誤飲した金属針が十二指腸下行部から膵頭部に迷入した1例

症例は健常で精神疾患のない50歳の男性で, 平成18年6月下旬右季肋部痛にて近医を受診された. 上部消化管内視鏡検査で十二指腸乳頭部の対側に発赤を伴う隆起が認められた.また, 腹部単純X線検査写真および腹部単純CTにて, 実測2.5cm長の細い針状の異物が十二指腸から膵頭部に認められた. 腹腔内に遊離ガスや後腹膜膿瘍は見られなかった. そのため, 異物除去目的に同日緊急手術を施行した. 開腹検査所見では腹水あるいは腹腔内出血はなく, 十二指腸を授動し膵頭部を剥離すると, 2.5cm長の金属針が十二指腸を穿通して膵頭部に刺さるように認められた. 周囲臓器や血管の損傷は見られなかった. 手術は金属...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 41; no. 2; pp. 188 - 193
Main Authors 角南, 栄二, 黒崎, 功, 小向, 慎太郎, 畠山, 勝義
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2008
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Summary:症例は健常で精神疾患のない50歳の男性で, 平成18年6月下旬右季肋部痛にて近医を受診された. 上部消化管内視鏡検査で十二指腸乳頭部の対側に発赤を伴う隆起が認められた.また, 腹部単純X線検査写真および腹部単純CTにて, 実測2.5cm長の細い針状の異物が十二指腸から膵頭部に認められた. 腹腔内に遊離ガスや後腹膜膿瘍は見られなかった. そのため, 異物除去目的に同日緊急手術を施行した. 開腹検査所見では腹水あるいは腹腔内出血はなく, 十二指腸を授動し膵頭部を剥離すると, 2.5cm長の金属針が十二指腸を穿通して膵頭部に刺さるように認められた. 周囲臓器や血管の損傷は見られなかった. 手術は金属針を除去し, 胆嚢摘出術およびCチューブドレナージを施行した. 術後経過は良好であった. 健常な成人が金属針を誤飲し, さらにそれが十二指腸から穿通し膵頭部に達するのは, 報告例が少なくまれな1例と考えられた. 若干の文献的考察を加えて報告する.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.41.188