ラット還流摘出肺におけるアルミトリンの低酸素性肺血管収縮に及ぼす影響
アルミトリン (Alm) の肺血管に及ぼす薬理作用が注目されている. 我々はラット同種血還流摘出肺を用いて; 1) 21%酸素換気下で還流液中Alm濃度が0~1,000ng/mlになるよう bolus で投与し, 肺血管収縮とAlm濃度との関係を検討した (n=10). 2) 1) で収縮を起こさない程度のAlm (125ng/ml) が低酸素性肺血管収縮 (HPVC) に及ぼす影響を調べるため, 実験群をAlm投与群 (n=5) と対照群 (n=6, Alm溶解液) の2群に分け, 2%酸素換気負荷を10分間ずつ3回施行し, 肺動脈圧の上昇率 (%Ppa) で比較検討した. 21%O2換気下...
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Published in | 日本胸部疾患学会雑誌 Vol. 26; no. 7; pp. 707 - 713 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | English Japanese |
Published |
社団法人 日本呼吸器学会
25.07.1988
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Subjects | |
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Summary: | アルミトリン (Alm) の肺血管に及ぼす薬理作用が注目されている. 我々はラット同種血還流摘出肺を用いて; 1) 21%酸素換気下で還流液中Alm濃度が0~1,000ng/mlになるよう bolus で投与し, 肺血管収縮とAlm濃度との関係を検討した (n=10). 2) 1) で収縮を起こさない程度のAlm (125ng/ml) が低酸素性肺血管収縮 (HPVC) に及ぼす影響を調べるため, 実験群をAlm投与群 (n=5) と対照群 (n=6, Alm溶解液) の2群に分け, 2%酸素換気負荷を10分間ずつ3回施行し, 肺動脈圧の上昇率 (%Ppa) で比較検討した. 21%O2換気下ではAlmは容量依存性に肺血管収縮を起こした. 低濃度Alm投与群 (125ng/ml) は対照群に比し, 1回目, 2回目の2%酸素負荷では有意に%Ppaは低下し, 3回目には有意差はなくなった. またアンギオテンシンIIの肺血管収縮性に及ぼす影響は, Alm投与群と対照群に差は認めなかった. 以上より, Almは高濃度では21%換気下で肺血管収縮を惹起し, 肺血管収縮を起こさない低濃度では肺血管への直接作用によりHPVCを抑制することが示された. |
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ISSN: | 0301-1542 1883-471X |
DOI: | 10.11389/jjrs1963.26.707 |