術前診断の困難であった限局性胸膜中皮腫の1症例-MRIによる検討を加えて

70歳. 男性. 人間ドックにて胸部異常影を指摘され受診, 胸部X線写真にて左肺門前縦隔に腫瘤状陰影を認めた. CT scan にても脂肪層にかこまれた陰影が前縦隔にみられ, MRIにても肺実質との連続性, 心血管系との連続性を認めなかったが, T1強調画像にて腫瘤は脂肪成分をほとんど含有せず, T2強調画像にて骨格筋と皮下脂肪の中間の intensity を呈した事より low grade malignancy と考えられた. 以上より, 本例は縦隔腫瘍, なかでも胸腺腫と診断された. 手術所見では, 腫瘤はS3臓側胸膜より発生し有茎性の腫瘤であり, 組織学的検討により良性限局性胸膜中皮腫で...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本胸部疾患学会雑誌 Vol. 26; no. 8; pp. 893 - 897
Main Authors 多田, 慎也, 清水, 信義, 中田, 安成, 高橋, 清, 平木, 俊吉, 大熨, 泰亮, 稲田, 俊雄, 木村, 郁郎
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 社団法人 日本呼吸器学会 25.08.1988
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0301-1542
1883-471X
DOI10.11389/jjrs1963.26.8_893

Cover

More Information
Summary:70歳. 男性. 人間ドックにて胸部異常影を指摘され受診, 胸部X線写真にて左肺門前縦隔に腫瘤状陰影を認めた. CT scan にても脂肪層にかこまれた陰影が前縦隔にみられ, MRIにても肺実質との連続性, 心血管系との連続性を認めなかったが, T1強調画像にて腫瘤は脂肪成分をほとんど含有せず, T2強調画像にて骨格筋と皮下脂肪の中間の intensity を呈した事より low grade malignancy と考えられた. 以上より, 本例は縦隔腫瘍, なかでも胸腺腫と診断された. 手術所見では, 腫瘤はS3臓側胸膜より発生し有茎性の腫瘤であり, 組織学的検討により良性限局性胸膜中皮腫であった. 限局性胸膜中皮腫は特徴的な臨床症状に乏しく, レントゲン学的所見も特異的なものは少ないとされている. 今回, 我々は従来報告されている胸部X線写真, CT scan による所見に加え, 核磁気共鳴現象によるMRIを用いた所見を検討し得たので報告する.
ISSN:0301-1542
1883-471X
DOI:10.11389/jjrs1963.26.8_893