下腸間膜動脈結紮時の血行動態に関する実験的研究

前方切除術施行時の腸管血行動態を知る目的で, 80頭の雑種成犬をもちい, 尾側腸間膜動脈根部結紮後の腸管組織酸素分圧の変動を観察した.測定は銅エナメル線酸素電極法によった.測定部位は血管走行にしたがって, 8ヵ所としたが, 血管結紮後の酸素電極流値の変化率には, 各部位で差異がみとめられとくに中結腸動脈と尾側腸間膜動脈の間の吻合動脈に対応する大腸が影響をうけることが推察された.測定電流値が正しく血行動態を反映するかは, 今後さらに検討を要すところであるが, 以上の実験的検討より, 高位結紮をおこなう前方切除術にあっては, 吻合の際, 口側腸管は横行結腸とすることが望ましいと考えられる....

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 11; no. 6; pp. 455 - 470
Main Author 町田, 純一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 1978
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.11.6_455

Cover

More Information
Summary:前方切除術施行時の腸管血行動態を知る目的で, 80頭の雑種成犬をもちい, 尾側腸間膜動脈根部結紮後の腸管組織酸素分圧の変動を観察した.測定は銅エナメル線酸素電極法によった.測定部位は血管走行にしたがって, 8ヵ所としたが, 血管結紮後の酸素電極流値の変化率には, 各部位で差異がみとめられとくに中結腸動脈と尾側腸間膜動脈の間の吻合動脈に対応する大腸が影響をうけることが推察された.測定電流値が正しく血行動態を反映するかは, 今後さらに検討を要すところであるが, 以上の実験的検討より, 高位結紮をおこなう前方切除術にあっては, 吻合の際, 口側腸管は横行結腸とすることが望ましいと考えられる.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.11.6_455