門脈ガス血症を伴った急性胃粘膜病変および急性穿孔性壊死性胆嚢炎の1例

症例は87歳の男性で, 高血圧症の既往あり. 突然の右上腹部痛, コーヒー残渣様嘔吐にて当院へ搬送された. 右上腹部に圧痛, 筋性防御を認め, 白血球23,700/μl, CRP 22.28mg/dlと高度上昇を認めた. 腹部単純X線検査では, 胃拡張および小腸の拡張を認めた. 腹部CTでは, 広範囲の肝内門脈に著明なガス像を認め, 胃壁内, 胃辺縁静脈内, 脾静脈, 上腸間膜静脈にもガス像を認めた. また, 胆嚢は緊満し, 周囲に炎症によると思われる浮腫像, 液体貯留像を認めた. 消化管壊死, 急性胆嚢炎の疑いにて緊急腹腔鏡検査を施行した. 急性穿孔性壊死性胆嚢炎の術中診断にて腹腔鏡下胆嚢摘...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 40; no. 4; pp. 433 - 437
Main Authors 三井, 一浩, 今野, 文博, 吉田, 龍一, 小ヶ口, 恭介, 並木, 健二, 松本, 宏, 高橋, 雄大
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2007
Online AccessGet full text
ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.40.433

Cover

More Information
Summary:症例は87歳の男性で, 高血圧症の既往あり. 突然の右上腹部痛, コーヒー残渣様嘔吐にて当院へ搬送された. 右上腹部に圧痛, 筋性防御を認め, 白血球23,700/μl, CRP 22.28mg/dlと高度上昇を認めた. 腹部単純X線検査では, 胃拡張および小腸の拡張を認めた. 腹部CTでは, 広範囲の肝内門脈に著明なガス像を認め, 胃壁内, 胃辺縁静脈内, 脾静脈, 上腸間膜静脈にもガス像を認めた. また, 胆嚢は緊満し, 周囲に炎症によると思われる浮腫像, 液体貯留像を認めた. 消化管壊死, 急性胆嚢炎の疑いにて緊急腹腔鏡検査を施行した. 急性穿孔性壊死性胆嚢炎の術中診断にて腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した. 術後の上部内視鏡検査では, 潰瘍を伴う胃粘膜病変が存在した. 術後経過は良好で第16病日退院となった. 本症例は, 急性胃粘膜病変とこれに伴う胃拡張により広範な門脈ガス血症を合併した急性穿孔性壊死性胆嚢炎と思われた.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.40.433