HIV感染に合併した劇症型アメーバ性大腸炎の1救命例
症例は37歳同性愛の男性で, 2002年3月下旬, 腹痛, 下痢を主訴に前医を受診, 小潰瘍を主体とした非特異的大腸炎と多発性肝膿瘍を認め, 赤痢アメーバ症が臨床的に強く疑われ, メトロニダゾールにて治療されていた. Human immunodeficiency virus (以下, HIV) 抗体陽性が判明したため, 4月初旬当院感染症科緊急入院, CD4陽性リンパ球数が224/ulとHIVによる低免疫状態が疑われた. 入院翌日, 右下腹部痛の急性増悪あり緊急CTにて遊離ガス像と多量の腹水を認めアメーバ性大腸炎の穿孔と診断し緊急手術を施行した. 穿孔部位は盲腸で, 穿孔部を利用した人工肛門造...
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Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 41; no. 1; pp. 135 - 140 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
2008
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Online Access | Get full text |
ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
DOI | 10.5833/jjgs.41.135 |
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Summary: | 症例は37歳同性愛の男性で, 2002年3月下旬, 腹痛, 下痢を主訴に前医を受診, 小潰瘍を主体とした非特異的大腸炎と多発性肝膿瘍を認め, 赤痢アメーバ症が臨床的に強く疑われ, メトロニダゾールにて治療されていた. Human immunodeficiency virus (以下, HIV) 抗体陽性が判明したため, 4月初旬当院感染症科緊急入院, CD4陽性リンパ球数が224/ulとHIVによる低免疫状態が疑われた. 入院翌日, 右下腹部痛の急性増悪あり緊急CTにて遊離ガス像と多量の腹水を認めアメーバ性大腸炎の穿孔と診断し緊急手術を施行した. 穿孔部位は盲腸で, 穿孔部を利用した人工肛門造設術を施行した. 肝膿瘍は保存的に治療し, 1年後に人工肛門を閉鎖した.近年アメーバ性大腸炎, HIV感染とも増加傾向にあり, これらを念頭においた早期診断および治療が劇症化の阻止と救命に重要であると考えられた |
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ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.41.135 |