門脈ガスの分布領域は臨床予後と相関するか
目的: 門脈ガス血症(hepatic portal venous gas;以下,HPVGと略記)は腸管壊死を示唆する予後不良の因子とされているが,重症度を規定する因子に関する報告はほとんどない.今回,我々は肝蔵での門脈ガスの分布領域と重症度との関連について検討したので報告する. 対象: 2008年8月から3年4か月間に当院で施行したmulti-detector CT(以下,MDCTと略記)にてHPVGを認めた32症例(男性56%,平均年齢76.2歳)である. 方法: ガスの分布領域を肝左葉のみ(L群;n=15),両葉(LR群;n=17)の2群に分け,患者背景,腹部造影CT所見,腸管壊死の有無,...
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Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 46; no. 1; pp. 1 - 6 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
01.01.2013
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Subjects | |
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ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
DOI | 10.5833/jjgs.2012.0151 |
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Summary: | 目的: 門脈ガス血症(hepatic portal venous gas;以下,HPVGと略記)は腸管壊死を示唆する予後不良の因子とされているが,重症度を規定する因子に関する報告はほとんどない.今回,我々は肝蔵での門脈ガスの分布領域と重症度との関連について検討したので報告する. 対象: 2008年8月から3年4か月間に当院で施行したmulti-detector CT(以下,MDCTと略記)にてHPVGを認めた32症例(男性56%,平均年齢76.2歳)である. 方法: ガスの分布領域を肝左葉のみ(L群;n=15),両葉(LR群;n=17)の2群に分け,患者背景,腹部造影CT所見,腸管壊死の有無,治療方針や予後に関してそれぞれ検討を行った. 結果: 患者背景や来院時現症,血液検査所見には有意差はなかった.CT所見では,胃・十二指腸の拡張(L群46.7% vs. LR群82.4%;P=0.040),小腸の拡張(53.3% vs. 94.1%;P=0.011),腸管気腫(46.7% vs. 100%;P<0.001),門脈本幹ガス(33.3% vs. 70.6%;P=0.035)においてLR群が有意に多かった.また,手術や腸管壊死の有無,死亡率に有意差は見られなかった. 結語: 本検討よりHPVGの分布領域と臨床的重症度や予後に関連は認められなかった. |
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ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.2012.0151 |