健康指標―健康危険度予測―のための標準的表記法

予防医学の目標は, 二次予防から一次予防へと移行を迫られている. 一次予防の目的を達するためには, 発症前診断, 発症の予知・予測を迫られることになるが, 集団の基準範囲をもって疾病の動静を把握しようとする現在の臨床検査成績では, その責めを果たすことはできない. そこで, 集団の基準範囲を設定する際に選出され, 母集団を構成する構成要素としての「個人の基準値」に着目し, 集団の基準値内にある個人の基準値と比較し, あるいは, 個人の継続データの前回差のトレンドを追求することにより, 集団の基準範囲の中にはあるが, 刻々と異常域値に向かってシフトしていく「個人の成績」によって, 異常 (異常値...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本総合健診医学会誌 Vol. 26; no. 3; pp. 250 - 282
Main Author 菅沼, 源二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本総合健診医学会 27.09.1999
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0911-1840
1884-409X
DOI10.7143/jhep1985.26.250

Cover

More Information
Summary:予防医学の目標は, 二次予防から一次予防へと移行を迫られている. 一次予防の目的を達するためには, 発症前診断, 発症の予知・予測を迫られることになるが, 集団の基準範囲をもって疾病の動静を把握しようとする現在の臨床検査成績では, その責めを果たすことはできない. そこで, 集団の基準範囲を設定する際に選出され, 母集団を構成する構成要素としての「個人の基準値」に着目し, 集団の基準値内にある個人の基準値と比較し, あるいは, 個人の継続データの前回差のトレンドを追求することにより, 集団の基準範囲の中にはあるが, 刻々と異常域値に向かってシフトしていく「個人の成績」によって, 異常 (異常値の以前に) 発症を予測し, 回避の警告を発することができないかの検討を行った. そのためには, まず, 測定ごとに測定単位の異なる測定値を, すべて同一レベルで比較可能になるように「スコア化」し, さらに「視覚化」し, すべての定量検査の測定値を, 「医師」にも「患者・受診者」にも共通した「ことば」=「NHKのニュースのような標準語」に置き換えることを試み, 健康危険度予測のための標準的表記法としての表示の方法を提案した.
ISSN:0911-1840
1884-409X
DOI:10.7143/jhep1985.26.250