新病棟への移転に伴う細菌学的環境調査 特にMRSAの拡散状況について

新病棟への患者移転に伴う病棟内の細菌数の推移, メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA) の拡散状況を把握するため細菌学的環境調査を行った. 新病棟への移転前にMRSAの感染が確認された患者は, スリッパのはきかえ, ガウンの着用, 消毒剤による手洗いなどの感染防止対策が実施される隔離病室に入室した. 患者移転1週間前, 1週間後, 1ヵ月後に隔離病室2室, 一般病室2室, 看護室・処置室の各室内と入口前廊下から滅菌綿棒による拭い取り法にて検体を採取した. また, 病棟スタッフのシューズの底からも拭い取り法により検体採取を行った. 結果は以下の通りである. 1. 総菌数は患者移転1週間後に増...

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Published in環境感染 Vol. 11; no. 3; pp. 183 - 188
Main Authors 花園, 淳, 北島, 浩美, 勝野, 久美子, 浦田, 秀子, 田代, 隆良, 松田, 淳一, 平潟, 洋一, 上平, 憲, 佐々木, 豊裕, 今西, 建夫
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 日本環境感染学会 30.01.1997
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Summary:新病棟への患者移転に伴う病棟内の細菌数の推移, メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA) の拡散状況を把握するため細菌学的環境調査を行った. 新病棟への移転前にMRSAの感染が確認された患者は, スリッパのはきかえ, ガウンの着用, 消毒剤による手洗いなどの感染防止対策が実施される隔離病室に入室した. 患者移転1週間前, 1週間後, 1ヵ月後に隔離病室2室, 一般病室2室, 看護室・処置室の各室内と入口前廊下から滅菌綿棒による拭い取り法にて検体を採取した. また, 病棟スタッフのシューズの底からも拭い取り法により検体採取を行った. 結果は以下の通りである. 1. 総菌数は患者移転1週間後に増加したが, 1ヵ月後には多くの箇所で減少した. 2. MRSAは隔離病室だけでなく一般病室からも検出された. 3. 病棟スタッフのシューズ底面から高率にMRSAが検出された. 4. シューズ底面をアルコールで消毒した後はMRSAは検出されなかった. 以上の結果より, 不顕性保菌者の存在, 病棟スタッフによるMRSAの伝播の可能性が示唆され, 病棟内清掃の徹底, シューズ底面のアルコール消毒など, 一般の看護においても感染防止対策が必要であると思われた.
ISSN:0918-3337
1884-2429
DOI:10.11550/jsei1986.11.183