肺癌に合併したステロイド剤内服中に発症したFournier's gangreneの1例

症例は59歳の男性で, 3年前より切除不能肺癌に対し化学療法を施行していたがPDとなり, 5か月前よりGefitinibの内服を開始した. 3か月前より薬剤性間質性肺炎に対しステロイド剤を併用していた. 2週間前からの肛門痛のため来院した. 肛門周囲膿瘍との診断で切開排膿したが, 疼痛範囲の左殿部から大腿後部への拡大を認めたため2日後入院となった. CTで同部の皮下軟部組織の腫脹と筋層内ガス像を認めたためFournier's gangreneと診断し, ただちに広範囲に切開, 洗浄, デブリードメントおよびsetonドレナージを行った. 細菌培養ではStaphylococcus ep...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 40; no. 6; pp. 775 - 780
Main Authors 黒田, 大介, 川崎, 健太郎, 安田, 貴志, 黒田, 嘉和, 安藤, 維洋, 森本, 大樹, 生田, 肇, 高瀬, 至郎, 神垣, 隆, 市原, 隆夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2007
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.40.775

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Summary:症例は59歳の男性で, 3年前より切除不能肺癌に対し化学療法を施行していたがPDとなり, 5か月前よりGefitinibの内服を開始した. 3か月前より薬剤性間質性肺炎に対しステロイド剤を併用していた. 2週間前からの肛門痛のため来院した. 肛門周囲膿瘍との診断で切開排膿したが, 疼痛範囲の左殿部から大腿後部への拡大を認めたため2日後入院となった. CTで同部の皮下軟部組織の腫脹と筋層内ガス像を認めたためFournier's gangreneと診断し, ただちに広範囲に切開, 洗浄, デブリードメントおよびsetonドレナージを行った. 細菌培養ではStaphylococcus epidermidis とE. coliの混合感染であった. 術後第35病日に植皮術を行った. ステロイド治療中まれに肛門周囲膿瘍など比較的軽微な創傷からFournier's gangreneを合併することがあるため, 本症例のように悪性腫瘍などの免疫機能低下を助長する疾患を持つ患者への投与時は注意が必要である.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.40.775