治癒切除が可能であった第4部の十二指腸癌の1例

症例は54歳の男性. 近医で貧血精査のために行われた上部消化管造影で十二指腸空腸曲に狭窄像を認め, 当科へ紹介, 入院となった. 上部消化管造影では造影剤のたまりを伴う全周性の狭窄像とその口側に連続する4.1cm大の憩室を認めた. 内視鏡検査では十二指腸第4部に狭窄を伴った全周性の2型腫瘍を認め, 生検で高分化腺癌と診断した. 十二指腸空腸曲原発の小腸癌の診断で, 十二指腸第3・4部および空腸部分切除・リンパ節郭清術を施行した. 病理組織学的診断では, 腫瘍は中分化腺癌が十二指腸周囲脂肪織まで浸潤し, ly0, v0, リンパ節は十二指腸壁在のものにのみ転移を認めた. 術後診断では, 第4部原...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 34; no. 5; pp. 485 - 489
Main Authors 齊藤, 修治, 遠藤, 格, 熊本, 宣文, 三浦, 勝, 杉田, 光隆, 三浦, 靖彦, 田中, 邦哉, 渡会, 伸治, 嶋田, 紘, 鈴木, 馨一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2001
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Summary:症例は54歳の男性. 近医で貧血精査のために行われた上部消化管造影で十二指腸空腸曲に狭窄像を認め, 当科へ紹介, 入院となった. 上部消化管造影では造影剤のたまりを伴う全周性の狭窄像とその口側に連続する4.1cm大の憩室を認めた. 内視鏡検査では十二指腸第4部に狭窄を伴った全周性の2型腫瘍を認め, 生検で高分化腺癌と診断した. 十二指腸空腸曲原発の小腸癌の診断で, 十二指腸第3・4部および空腸部分切除・リンパ節郭清術を施行した. 病理組織学的診断では, 腫瘍は中分化腺癌が十二指腸周囲脂肪織まで浸潤し, ly0, v0, リンパ節は十二指腸壁在のものにのみ転移を認めた. 術後診断では, 第4部原発の十二指腸癌, T3, N1, M0 Stage IIIであった. まれな第4部原発十二指腸癌に対し, 上腸間膜動静脈根部リンパ節郭清を伴った十二指腸部分切除術を行った. 十二指腸癌の診断・治療・予後に関し文献的考察を加え報告する.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.34.485