I型を呈した未分化型早期胃癌の1例

症例は47歳の女性.主訴は特になく, 胃X線検査にて体中後壁に不整な隆起を認め, 胃内視鏡検査にて印環細胞癌と診断され, 手術目的にて当科初診となった.幽門側胃切除術 (D2郭清) を施行した.病理学的に低分化腺癌および印環細胞癌からなるI型早期胃癌 (深達度SM) と診断された.一般に隆起を主体とする早期胃癌は, 腫瘍を形成する主な組織型が高分化~中分化腺癌であり, 低分化腺癌, 印環細胞癌は隆起の一部あるいは隆起陥凹型の陥凹部分に限局していることが多い.未分化型癌細胞により隆起を形成する症例は, 自験例を含め本邦にて21例の報告のみであり非常にまれと考えられた.病理学的検索にて, 癌細胞周...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 35; no. 2; pp. 156 - 160
Main Authors 瀧本, 雅文, 只友, 秀樹, 安藤, 昌之, 小柳, 泰久, 丸山, 祥司, 川口, 実, 葦沢, 龍人, 大沼, 忍, 原田, 佳明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2002
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.35.156

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Summary:症例は47歳の女性.主訴は特になく, 胃X線検査にて体中後壁に不整な隆起を認め, 胃内視鏡検査にて印環細胞癌と診断され, 手術目的にて当科初診となった.幽門側胃切除術 (D2郭清) を施行した.病理学的に低分化腺癌および印環細胞癌からなるI型早期胃癌 (深達度SM) と診断された.一般に隆起を主体とする早期胃癌は, 腫瘍を形成する主な組織型が高分化~中分化腺癌であり, 低分化腺癌, 印環細胞癌は隆起の一部あるいは隆起陥凹型の陥凹部分に限局していることが多い.未分化型癌細胞により隆起を形成する症例は, 自験例を含め本邦にて21例の報告のみであり非常にまれと考えられた.病理学的検索にて, 癌細胞周囲の毛細血管, 膠原繊維, 平滑筋繊維などが複雑に入り込み, これらにより腫瘍の構築が崩れず, 隆起の形態を保持しているものと考えられた.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.35.156