胸部X線写真上びまん性微細粒状影を呈した潜在性乳癌の肺転移の1症例

症例は57歳女性で咳嗽を主訴として近医受診し, 胸部異常指摘され, 精査目的にて当科紹介された. 現症では, 左側腋窩部に母指頭大の腫大したリンパ節を触知した以外特記すべき所見はなかった. 胸部X線写真上びまん性微細粒状影を呈し, 腫傷マーカーNCC-ST-439が2,800U/mlと高値であった. 気管支生検, および左側腋窩リンパ節生検より同一の上皮性腫瘍細胞の増殖を認め, 原発として肺癌, 乳癌などを疑った. 乳房の超音波検査で腫瘤陰影は認めなかったが, 石灰化を呈した付近より生検し, 左側乳癌と診断した. 肺病変はその転移と考えられた. 広範な肺転移を契機に発見された潜在性乳癌は稀であ...

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Published in日本胸部疾患学会雑誌 Vol. 30; no. 5; pp. 903 - 908
Main Authors 大江, 真司, 須甲, 憲明, 川上, 義和, 中島, 功雄, 竹川, 宏典, 阿部, 庄作, 藤野, 通宏, 国兼, 浩嗣, 渡部, 直巳
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 社団法人 日本呼吸器学会 25.05.1992
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ISSN0301-1542
1883-471X
DOI10.11389/jjrs1963.30.903

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Summary:症例は57歳女性で咳嗽を主訴として近医受診し, 胸部異常指摘され, 精査目的にて当科紹介された. 現症では, 左側腋窩部に母指頭大の腫大したリンパ節を触知した以外特記すべき所見はなかった. 胸部X線写真上びまん性微細粒状影を呈し, 腫傷マーカーNCC-ST-439が2,800U/mlと高値であった. 気管支生検, および左側腋窩リンパ節生検より同一の上皮性腫瘍細胞の増殖を認め, 原発として肺癌, 乳癌などを疑った. 乳房の超音波検査で腫瘤陰影は認めなかったが, 石灰化を呈した付近より生検し, 左側乳癌と診断した. 肺病変はその転移と考えられた. 広範な肺転移を契機に発見された潜在性乳癌は稀であり, その際腫瘍マーカーNCC-ST-439が診断に有効であった症例と考えられた.
ISSN:0301-1542
1883-471X
DOI:10.11389/jjrs1963.30.903