潰瘍性大腸炎の長期経過中に発症した盲腸癌と虫垂粘液嚢胞腺癌との衝突癌の1例
症例は62歳の男性で, 1970年(27歳時), 粘血便で発症し, 全大腸炎型の潰瘍性大腸炎と診断された. 再燃緩解型でサラゾピリン, プレドニン内服などの加療を受けていたが, 1998年以降は無治療であった. 2004年11月, 貧血の精査目的で当院を受診, 大腸内視鏡検査にて, 緩解期の潰瘍性大腸炎に合併した盲腸癌の診断を得た. 2005年2月, 結腸右半切除, D3郭清術を施行した. 摘出標本では盲腸腫瘍に加えて, 虫垂にも粘液産生を伴う腫瘍性病変を認めた. 両者はそれぞれ独立して腫瘍を形成し, 正常粘膜を介さず隣接して存在した. 病理組織学的検索では盲腸高分化腺癌と虫垂粘液嚢胞腺癌との...
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Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 40; no. 2; pp. 221 - 226 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
2007
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Summary: | 症例は62歳の男性で, 1970年(27歳時), 粘血便で発症し, 全大腸炎型の潰瘍性大腸炎と診断された. 再燃緩解型でサラゾピリン, プレドニン内服などの加療を受けていたが, 1998年以降は無治療であった. 2004年11月, 貧血の精査目的で当院を受診, 大腸内視鏡検査にて, 緩解期の潰瘍性大腸炎に合併した盲腸癌の診断を得た. 2005年2月, 結腸右半切除, D3郭清術を施行した. 摘出標本では盲腸腫瘍に加えて, 虫垂にも粘液産生を伴う腫瘍性病変を認めた. 両者はそれぞれ独立して腫瘍を形成し, 正常粘膜を介さず隣接して存在した. 病理組織学的検索では盲腸高分化腺癌と虫垂粘液嚢胞腺癌との異なる組織型の癌が, 混ざり合うことなく, 明瞭な境界を伴い相接しており衝突癌と診断した. 大腸における衝突腫瘍の報告は少なく, また自験例のような盲腸と虫垂から発生した悪性腫瘍同士の衝突の報告例はなく, 極めてまれな症例と考えられ, 若干の文献的考察を加えて報告する. |
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ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.40.221 |