多発横行結腸癌に起因した成人腸重積症の1例

• Published in: 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 35; no. 2; pp. 199 - 203
• Main Authors: 原田, 俊夫, 清水, 良一, 佐伯, 俊宏, 吉本, 裕紀, 林, 秀知
• Format: Journal Article
• Language: Japanese
• Published: 一般社団法人 日本消化器外科学会 2002
• ISSN: 0386-9768; 1348-9372
• DOI: 10.5833/jjgs.35.199

横行結腸癌による成人腸重積症というまれな疾患を経験したので報告する.症例は74歳の女性.両下肢の浮腫にて来院, 上腹部に圧痛を伴う腫瘤を触知した.注腸, 超音波, CTおよび内視鏡検査にて横行結腸癌による腸重積症と診断した.術前処置中にイレウスとなり, イレウス管による減圧後の平成13年3月1日にD3郭清を伴う横行結腸切除術を施行した.手術所見では, 横行結腸の口側が肛門側に順行性に陥入した重積部の先端に腫瘤を触知した.2群リンパ節に転移を伴う最大径95mmの1型の低分化型腺癌とこれに近接する最大径33mm の2型の中分化型腺癌が認められた.横行結腸癌による腸重積症の報告は本邦では自験例を含め, 7例のみである.その特徴は, すべて高齢の女性で, 腫瘍の肉眼型は1型であった.また, 入院時に7例中5例がイレウス症状を呈していた.