本態性血小板血症を合併し胆嚢出血で発症した胆嚢癌の1例

症例は72歳の女性. 胸背部痛および心窩部痛を主訴に当院救急外来へ救急車で搬送された. 胸腹部CTで胆嚢内腫瘤および胆嚢出血を疑われ緊急入院となった. 平成11年5月より本態性血小板血症の診断で近医にて内服治療中であった. 翌日の腹部エコー検査および腹部MRI検査にて胆嚢内出血と胆嚢壁の不整および軽度肥厚を認めた. 消化管内視鏡検査では胆道出血が認められた. 血液生化学検査で肝胆道系酵素の急上昇を認め, 胆道出血による血腫で胆管閉塞を来したと判断し緊急手術を施行した. 摘出した胆嚢を切開すると, 底部に腫瘍を認め同部より出血したと考えられた. 肝切離面より出血傾向を認めるため, マイクロ波によ...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 36; no. 5; pp. 373 - 377
Main Authors 藤田, 雄司, 中村, 丘, 榎, 忠彦, 野島, 真治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2003
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Summary:症例は72歳の女性. 胸背部痛および心窩部痛を主訴に当院救急外来へ救急車で搬送された. 胸腹部CTで胆嚢内腫瘤および胆嚢出血を疑われ緊急入院となった. 平成11年5月より本態性血小板血症の診断で近医にて内服治療中であった. 翌日の腹部エコー検査および腹部MRI検査にて胆嚢内出血と胆嚢壁の不整および軽度肥厚を認めた. 消化管内視鏡検査では胆道出血が認められた. 血液生化学検査で肝胆道系酵素の急上昇を認め, 胆道出血による血腫で胆管閉塞を来したと判断し緊急手術を施行した. 摘出した胆嚢を切開すると, 底部に腫瘍を認め同部より出血したと考えられた. 肝切離面より出血傾向を認めるため, マイクロ波による肝床部凝固とリンパ節郭清のみを行った. 胆管洗浄を行い術中造影にて胆管内の血腫が十分に除去されたことを確認した. 術後経過良好で, 術後5か月の現在も再発の兆候なく経過観察中である.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.36.373