新しい胸壁補填材料としてのポリウレタンシート 動物実験での使用経験
コンプライアンスを有するポリウレタンシートを用いた胸壁再建術の実験結果を報告する.10~15 Kgの雑種犬8頭を用い, 連続する肋骨を2~3本を含めて切除して約6×6cmの胸壁欠損を作成し,同シートを用いて胸壁を再建した. 術後再建部の呼吸性動揺の有無を観察し, 1~9ケ月後にシートを採取した, 採取時に肺との癒着の程度を観察しシートの組織反応を検討した, 術後再建部胸壁に奇異性の胸壁動揺はみられなかったが感染で1例を失った. シートと肺との癒着は比較的軽度であった. 組織学的にはシートの両面に膠原繊維よりなる表面平滑な線維性組織が早期より形成されていた. 縫合部を中心に軽度のforeign-...
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Published in | 人工臓器 Vol. 23; no. 3; pp. 731 - 734 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本人工臓器学会
15.06.1994
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ISSN | 0300-0818 1883-6097 |
DOI | 10.11392/jsao1972.23.731 |
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Summary: | コンプライアンスを有するポリウレタンシートを用いた胸壁再建術の実験結果を報告する.10~15 Kgの雑種犬8頭を用い, 連続する肋骨を2~3本を含めて切除して約6×6cmの胸壁欠損を作成し,同シートを用いて胸壁を再建した. 術後再建部の呼吸性動揺の有無を観察し, 1~9ケ月後にシートを採取した, 採取時に肺との癒着の程度を観察しシートの組織反応を検討した, 術後再建部胸壁に奇異性の胸壁動揺はみられなかったが感染で1例を失った. シートと肺との癒着は比較的軽度であった. 組織学的にはシートの両面に膠原繊維よりなる表面平滑な線維性組織が早期より形成されていた. 縫合部を中心に軽度のforeign-body mactiomがみられたが, リンパ球浸潤は軽度であった. 走査電顕像では交錯する膠原繊維が見られたが中皮細胞は確認されなかった.以上よリポリウレタンシートは胸壁の支持力, 組織反応の点から胸壁再建人工材料として有用であることが示唆された. |
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ISSN: | 0300-0818 1883-6097 |
DOI: | 10.11392/jsao1972.23.731 |