遺伝性非ポリポーシス大腸癌の手術術式の適応と遺伝子診断

遺伝性非ポリポーシス大腸癌 (HNPCC) の臨床的特徴のひとつに, 大腸多発癌や子宮体癌の重複の頻度が高いことがあげられる. 今回の検討では, 大腸多発癌の頻度22.1%, 大腸癌術後の直腸癌発生のリスク9.6%, 直腸癌術後の結腸癌発生のリスク27.7%, 子宮体癌の重複する頻度10.1%であった.したがって, HNPCCでは大腸全摘ないし大腸亜全摘や子宮の合併切除などの拡大手術が求められる. しかしこれらの拡大手術はQOLの低下をまねくことから, 適応は慎重になされなければならない. HNPCCの原因遺伝子であるhMSH2やhMLH1のgermline mutationを有する症例や生検...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 30; no. 4; pp. 915 - 919
Main Authors 宇都宮, 譲二, 宮木, 美知子, 馬場, 正三, 岩間, 毅夫, 渡辺, 文明, 阿部, 力哉, 土屋, 敦雄, 湯浅, 保仁, 野水, 整, 八巻, 義雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 1997
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.30.915

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Summary:遺伝性非ポリポーシス大腸癌 (HNPCC) の臨床的特徴のひとつに, 大腸多発癌や子宮体癌の重複の頻度が高いことがあげられる. 今回の検討では, 大腸多発癌の頻度22.1%, 大腸癌術後の直腸癌発生のリスク9.6%, 直腸癌術後の結腸癌発生のリスク27.7%, 子宮体癌の重複する頻度10.1%であった.したがって, HNPCCでは大腸全摘ないし大腸亜全摘や子宮の合併切除などの拡大手術が求められる. しかしこれらの拡大手術はQOLの低下をまねくことから, 適応は慎重になされなければならない. HNPCCの原因遺伝子であるhMSH2やhMLH1のgermline mutationを有する症例や生検材料でのRERが陽性の症例を適応とするべきであるが, 臨床的に対処するならば, Amsterdam Criteriaによって厳密に診断すべきである.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.30.915