胆管閉塞を来した好酸球性胆管炎の2例
胆管閉塞を来した好酸球性胆管炎の2症例を経験した. 症例1は53歳の女性で, 検診にて肝異常陰影を指摘された. CT, ERCPで肝左葉の肝内胆管閉塞を認めた. 胆汁細胞診は良性であったが胆管癌も否定できず肝左葉切除術を施行した. 病理組織学的には胆管閉塞部位に多数の好酸球浸潤を認めた. 術後18か月再発の兆候はない. 症例2は87歳の女性で, 主訴は右上腹部痛. ERCPで下部胆管閉塞と総胆管結石を認め, 閉塞部位の組織診で好酸球主体の炎症細胞浸潤を認めた. 内視鏡的胆道拡張術, 切石術により症状は軽快した. 術後17か月再発の兆候はない. 文献上, 好酸球性胆管炎として報告されている症例は...
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Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 41; no. 5; pp. 533 - 539 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
2008
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Online Access | Get full text |
ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
DOI | 10.5833/jjgs.41.533 |
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Summary: | 胆管閉塞を来した好酸球性胆管炎の2症例を経験した. 症例1は53歳の女性で, 検診にて肝異常陰影を指摘された. CT, ERCPで肝左葉の肝内胆管閉塞を認めた. 胆汁細胞診は良性であったが胆管癌も否定できず肝左葉切除術を施行した. 病理組織学的には胆管閉塞部位に多数の好酸球浸潤を認めた. 術後18か月再発の兆候はない. 症例2は87歳の女性で, 主訴は右上腹部痛. ERCPで下部胆管閉塞と総胆管結石を認め, 閉塞部位の組織診で好酸球主体の炎症細胞浸潤を認めた. 内視鏡的胆道拡張術, 切石術により症状は軽快した. 術後17か月再発の兆候はない. 文献上, 好酸球性胆管炎として報告されている症例は18例と少ない. 悪性疾患を念頭に高侵襲な治療が施行された報告もあるが, 近年臨床報告の増加から徐々に病態が解明されつつあり, 内視鏡的治療が主体となっていくと考えられる. 本疾患の知見と的確な診断により治療の低侵襲を維持できると考えられた. |
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ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.41.533 |