CAPD導入時の患者選択の重要性と腹膜炎の発症に関する研究
当科で導入したCAPD患者54名を患者自身がCAPDを積極的に選択した群 (positive selection PS) と基礎疾患のためCAPDを選択した群 (negative selection NS) に分けて離脱および腹膜炎の頻度やその起炎菌について検討した. PS群の離脱は11.9%で移植や転医を除くと7.1%であった. NS群の離脱は66.7%と多くその転帰は基礎疾患による死亡が62.5%であったが腹膜炎のため血液透析 (HD) に移行したものも37.5%認められた. 腹膜炎の頻度はPS群が0.58/患者・年に対しNS群は2.13/患者・年と高く, 腹膜炎の頻度と腹膜炎による離脱い...
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Published in | 日本透析療法学会雑誌 Vol. 22; no. 8; pp. 865 - 869 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
社団法人 日本透析医学会
28.08.1989
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ISSN | 0911-5889 1884-6211 |
DOI | 10.4009/jsdt1985.22.865 |
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Summary: | 当科で導入したCAPD患者54名を患者自身がCAPDを積極的に選択した群 (positive selection PS) と基礎疾患のためCAPDを選択した群 (negative selection NS) に分けて離脱および腹膜炎の頻度やその起炎菌について検討した. PS群の離脱は11.9%で移植や転医を除くと7.1%であった. NS群の離脱は66.7%と多くその転帰は基礎疾患による死亡が62.5%であったが腹膜炎のため血液透析 (HD) に移行したものも37.5%認められた. 腹膜炎の頻度はPS群が0.58/患者・年に対しNS群は2.13/患者・年と高く, 腹膜炎の頻度と腹膜炎による離脱いずれもNS群で有意な高値を示した. しかしながらNS群でもCAPDを継続しえている群では腹膜炎の頻度は0.6/患者・年で継続月数とともにPS群に匹敵する値であり, 腹膜炎を予防, 克服しえている群ではCAPD継続に成功していた. 腹膜炎の起炎菌ではPS群ではグラム陽性菌が57.2%と大多数を占めたのに対しNS群ではグラム陽性菌は26%と少なく, グラム陰性菌 (26%) とカンジダ (22%) と同頻度でありPS群と大きな相違を示した. またカンジダ腹膜炎の全例がNS群に発症し, いずれも離脱した. 末期腎不全患者をCAPDに導入するにあたり患者選択には十分検討を要するが, NS群でも腹膜炎を予防することによりCAPD継続可能であり発症した場合力ンジダ等難治性の腹膜炎の出現に注意を要すると思われた. |
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ISSN: | 0911-5889 1884-6211 |
DOI: | 10.4009/jsdt1985.22.865 |