胃全摘再建術におけるRoux-en-Y法と空腸パウチ・ダブルトラクト法の臨床的評価

根治度A, Bの胃全摘を行った胃癌24症例を対象として再建法の術後評価を行った. 空腸パウチ・ダブルトラクト再建 (以下, JPD) 9例とRoux-en-Y再建 (以下, R-Y) 15例に縫合不全はなかった. 再建法は根治度A, B をJPDの適応としたが最終的には主治医の判断によった. 周術期経過はJPD に器械吻合器を使用したことで手術時間が短縮した. 術後経過を総合的進行程度Ia, Ib, II のJPD 6例, RY11例について術後3 年まで検討した. 白血球数, リンパ球, ヘモグロビン値, 総蛋白値, アルブミン値, 総コレステロール値はR-Y, JPDともほぼ正常範囲内の経...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 32; no. 4; pp. 978 - 982
Main Authors 中村, 健司, 宮治, 正雄, 梶浦, 泰生, 田島, 知郎, 近藤, 泰理, 生越, 喬二, 幕内, 博康
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 1999
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.32.978

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Summary:根治度A, Bの胃全摘を行った胃癌24症例を対象として再建法の術後評価を行った. 空腸パウチ・ダブルトラクト再建 (以下, JPD) 9例とRoux-en-Y再建 (以下, R-Y) 15例に縫合不全はなかった. 再建法は根治度A, B をJPDの適応としたが最終的には主治医の判断によった. 周術期経過はJPD に器械吻合器を使用したことで手術時間が短縮した. 術後経過を総合的進行程度Ia, Ib, II のJPD 6例, RY11例について術後3 年まで検討した. 白血球数, リンパ球, ヘモグロビン値, 総蛋白値, アルブミン値, 総コレステロール値はR-Y, JPDともほぼ正常範囲内の経時的変動であり再建法による差がなかった. 体重減少率は3か月以降2年までR-Yの11.3±2.9~15.6±3.9%に比べてJPDは4.5±6.5~6.1±5.5%と有意に低値を示した. 以上よりJPDは器械吻合器の使用で手術時間が短縮し, R-Yに比べて術後の血液検査に差がなかったが, 術後の体重減少率が少ない有用な胃全摘再建術であると考えられた.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.32.978