多血症と胃切除

末梢血中の赤血球数が著しく増加した状態を多血症といい, この合併症には外科的療法の適応となるものも多い. なかでも胃, 十二指腸潰瘍の合併は多くみられるが, その手術報告は本邦では皆無に近い. われわれは著明な吐血, 下血を主訴とした消化性潰瘍を伴った多血症2例を経験し, それぞれ胃全摘, 胃半切除を行い, 良好な結果を得た. 多血症はその性質上, 出血傾向と同時に不完全な止血機構をも有するため, 消化性潰瘍を合併した場合, 顕出血例が多く, 手術適応となるが, 術前の血行動態へのコントロールが十分に行われていれば, むしろ積極的に手術に踏みきるべきである....

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 10; no. 6; pp. 634 - 641
Main Authors 山口, 敏朗, 岡村, 貞夫, 津田, 忠昭, 中野, 康宏, 勝見, 正治, 遠藤, 篤, 塩崎, 梓
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 1977
Subjects
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.10.634

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Summary:末梢血中の赤血球数が著しく増加した状態を多血症といい, この合併症には外科的療法の適応となるものも多い. なかでも胃, 十二指腸潰瘍の合併は多くみられるが, その手術報告は本邦では皆無に近い. われわれは著明な吐血, 下血を主訴とした消化性潰瘍を伴った多血症2例を経験し, それぞれ胃全摘, 胃半切除を行い, 良好な結果を得た. 多血症はその性質上, 出血傾向と同時に不完全な止血機構をも有するため, 消化性潰瘍を合併した場合, 顕出血例が多く, 手術適応となるが, 術前の血行動態へのコントロールが十分に行われていれば, むしろ積極的に手術に踏みきるべきである.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.10.634