空洞内部の観察により治療効果を確認した壁在増殖型肺アスペルギルス症の1例

症例は45歳, 男性. 1988年10月から肺結核治療中であった. 1989年10月血痰が出現し, 胸部エックス線写真上, 右空洞壁の肥厚, 壁の不整を認め, 壁在増殖型肺アスペルギルス症を疑い精査した. 右B2入口部上部に白苔を認め, 生検にて真菌の集塊を採取し, 術後痰から Aspergillus fumigatus が同定され, 気管支アスペルギルス症, 壁在増殖型アスペルギルス症と診断した. 本人の希望で内服治療となり, 4年後の1993年6月, 胸部エックス線写真上, 空洞の増大を認めたが, 空洞壁の厚みの増加, 内部突出, 菌塊形成は認められなかった. しかし, 空洞内を気管支鏡で...

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Published in日本胸部疾患学会雑誌 Vol. 33; no. 4; pp. 473 - 477
Main Authors 宮沢, 裕, 鈴木, 公典, 杉本, 尚昭, 阿部, 雄造, 佐々木, 結花, 山岸, 文雄
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 社団法人 日本呼吸器学会 25.04.1995
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ISSN0301-1542
1883-471X
DOI10.11389/jjrs1963.33.473

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Summary:症例は45歳, 男性. 1988年10月から肺結核治療中であった. 1989年10月血痰が出現し, 胸部エックス線写真上, 右空洞壁の肥厚, 壁の不整を認め, 壁在増殖型肺アスペルギルス症を疑い精査した. 右B2入口部上部に白苔を認め, 生検にて真菌の集塊を採取し, 術後痰から Aspergillus fumigatus が同定され, 気管支アスペルギルス症, 壁在増殖型アスペルギルス症と診断した. 本人の希望で内服治療となり, 4年後の1993年6月, 胸部エックス線写真上, 空洞の増大を認めたが, 空洞壁の厚みの増加, 内部突出, 菌塊形成は認められなかった. しかし, 空洞内を気管支鏡で観察したところ, 内壁に白苔が付着し, 同部の擦過検体で糸状菌を認め, 真菌感染の持続が強く疑われた. イトラコナゾールに変更後, 胸部エックス線写真上空洞壁はさらに薄くなり, 空洞内の観察により真菌塊の消失を確認した. 経気管支鏡的に空洞内部を観察し, 内服療法の効果を確認し得た稀な症例と考え, 報告した.
ISSN:0301-1542
1883-471X
DOI:10.11389/jjrs1963.33.473