生体部分肝移植術後に蛋白尿の軽減をみたネフローゼ症候群合併C型肝硬変の1例

C型肝硬変は, 膜性増殖性糸球体腎炎によるネフローゼ症候群を合併することがあるとされている.このような病態に対し肝移植術を施行すると, 免疫抑制剤使用によりウイルス量が増加し, 術後, 腎障害が増悪することがある. この度, 生体部分肝移植術後に尿蛋白量が減少し, 腎機能も改善した症例を経験した. 症例は49歳の男性で, C型肝硬変にて通院中, 1999年ネフローゼ症候群と診断された. 2001年8月21日, 生体部分肝移植術を施行した. 術中生検にて膜性増殖性糸球体腎炎と診断された. 尿蛋白量は, 術前, 2-11g/day, 術後は, 6~10g/dayで推移したが次第に減少し, 現在1~...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 37; no. 4; pp. 405 - 409
Main Authors 加藤, 崇, 原, 義明, 畠山, 勝義, 佐藤, 好信, 渡辺, 隆興, 竹石, 利之, 平野, 謙一郎, 小林, 隆, 白井, 良夫, 山本, 智
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 2004
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.37.405

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Summary:C型肝硬変は, 膜性増殖性糸球体腎炎によるネフローゼ症候群を合併することがあるとされている.このような病態に対し肝移植術を施行すると, 免疫抑制剤使用によりウイルス量が増加し, 術後, 腎障害が増悪することがある. この度, 生体部分肝移植術後に尿蛋白量が減少し, 腎機能も改善した症例を経験した. 症例は49歳の男性で, C型肝硬変にて通院中, 1999年ネフローゼ症候群と診断された. 2001年8月21日, 生体部分肝移植術を施行した. 術中生検にて膜性増殖性糸球体腎炎と診断された. 尿蛋白量は, 術前, 2-11g/day, 術後は, 6~10g/dayで推移したが次第に減少し, 現在1~2g/dayで経過中である. 蛋白尿軽減の病態は, 免疫抑制剤使用による膜性増殖性糸球体腎炎の軽快も一因と思われたが, 肝機能改善とともに腎機能も改善しており, 肝腎症候群の軽減の関与も考えられた.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.37.405