人工心臓による左心補助循環時の心機能の検討 特に心筋代謝の変化から

雑種成犬15頭を用い, 左前下行枝結紮により左心不全心を作製し, 遠心ポンプにて左房―大動脈間Bypass (LHB)を行い, LHB Flowを全心拍出量の50%, 75%及び100% (Max. Flow)として, 各流量での冠状動脈血流量(CSBF), 心筋酸素消費量(MOC), 局所心筋血流量(MBF)及び右室(RV) E maxを測定した。75%LHBを行うとMOCは冠静脈洞酸素含有量の増加によって著明に減少し, 左室梗塞境界域のMBFは増加し, 左室健常域のMBFは逆に減少した。これは重要領域への血液のdistributionの変化が考えられた。Max LHB Flowにすると,...

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Published in人工臓器 Vol. 15; no. 2; pp. 596 - 599
Main Authors 服部, 良二, 斉藤, 圭治, 魏, 啓明, 福山, 守, 草川, 實, 井村, 正史, 湯浅, 浩, 矢田, 公
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本人工臓器学会 15.04.1986
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ISSN0300-0818
1883-6097
DOI10.11392/jsao1972.15.596

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Summary:雑種成犬15頭を用い, 左前下行枝結紮により左心不全心を作製し, 遠心ポンプにて左房―大動脈間Bypass (LHB)を行い, LHB Flowを全心拍出量の50%, 75%及び100% (Max. Flow)として, 各流量での冠状動脈血流量(CSBF), 心筋酸素消費量(MOC), 局所心筋血流量(MBF)及び右室(RV) E maxを測定した。75%LHBを行うとMOCは冠静脈洞酸素含有量の増加によって著明に減少し, 左室梗塞境界域のMBFは増加し, 左室健常域のMBFは逆に減少した。これは重要領域への血液のdistributionの変化が考えられた。Max LHB Flowにすると, CSBF, MOC, MBFは各々有意に低下したが, 左室境界域MBFの低下は少なかった。さらにMax LHB Flow時RV E maxは著明に低下し, RV MBFは右室仕事量の増大により増加した。つまりMax LHB Flowでは著明な左心仕事量の減少が得られるが, LVのdecompressionによってRVの弾性率と収縮効率は著明に低下した。75%LHB Flowは両心機能のバランスから考えると最も適切であると思われた。
ISSN:0300-0818
1883-6097
DOI:10.11392/jsao1972.15.596